児童手当の振込額が思っていたより少ないとき、保育料や学校給食費が差し引かれている場合があります。文部科学省によると、公立小学校の給食費には2026年4月から国の支援が入りましたが、基準額を超える分は保護者の負担になる場合もある点には注意が必要です。
児童手当は偶数月に前月分までの2か月分がまとめて振り込まれ、次の12月は10月分と11月分です。こども家庭庁は「児童手当Q&A」で、保育料は市区町村の判断で児童手当から徴収でき、学校給食費などは受給者から申し出があった場合に徴収できると説明しています。根拠は児童手当法の第21条と第22条です。
この記事では、児童手当から差し引かれる費用の種類と、差し引かれる条件の違いを、児童手当法の条文と市区町村の案内をもとに確認します。
1. 12月の児童手当の振込は10月分と11月分。3歳未満は1か月1万5000円
まず、児童手当の月額と、振込額の数え方を確認します。
1.1 児童手当の月額は3歳未満が1万5000円、3歳から高校生年代までが1万円
こども家庭庁によると、児童手当の月額は3歳未満が1万5000円、3歳以上高校生年代までが1万円です。第3子以降は年齢にかかわらず3万円になります。第3子以降とは、児童と児童の兄姉などのうち、年齢が上の子から数えて3人目以降の子を指します。
児童手当法第8条第4項は、児童手当を2月・4月・6月・8月・10月・12月の年6回、それぞれの前月までの分を支払うと定めています。10月に振り込まれたのは8月分と9月分で、次の12月に振り込まれるのは10月分と11月分です。2歳の子どもが1人なら、12月の振込は1万5000円の2か月分で3万円です。
1.2 児童手当の受給者が公務員なら勤務先から支給される
児童手当は住んでいる市区町村から支給されます。公務員の場合は勤務先から支給されるため、振込額の問い合わせ先も勤務先になります。
2. 保育料は市区町村の判断で児童手当から徴収できる(児童手当法第22条)
保育料を児童手当から差し引く仕組みは、受給者が申し出ていなくても使えます。児童手当法第22条で、市区町村による「特別徴収」と呼ばれています。
2.1 保育料の特別徴収は、受給者と保育料を払う人が同じ場合に限られる
こども家庭庁の「児童手当Q&A」は、児童手当を受け取っている人と保育料を支払うべき扶養義務者が同じ場合に、市区町村がその人に手当を支払う際に保育料を徴収できると説明しています。
児童手当は父母のうち1人が受け取ります。保育料を払う人と児童手当の受給者が同じであることが、特別徴収の前提です。
2.2 特別徴収をするときは、徴収する保育料の額があらかじめ通知される
児童手当法第22条第2項は、市区町村が特別徴収をしようとするときは、特別徴収で徴収する旨と対象者ごとの保育料の額などを、あらかじめ通知しなければならないと定めています。
差し引かれる前に通知が届く仕組みです。通知が届いていないのに振込額が少ない場合は、別の理由を確かめる必要があります。
2.3 特別徴収を実施するかどうかは市区町村によって異なる
こども家庭庁の「児童手当制度のご案内」は、保育料などの徴収を実施するかどうかは各市区町村で異なると明記しています。法律は「徴収することができる」と定めているだけで、すべての市区町村で行われているわけではありません。
3. 学校給食費などは、受給者が申し出た場合だけ児童手当から支払える(児童手当法第21条)
学校給食費などを児童手当から支払う仕組みは、受給者の申し出が前提です。申し出がなければ、学校給食費が児童手当から差し引かれることはありません。
3.1 児童手当法第21条は、学校給食費や保育料を申出の対象にしている
児童手当法第21条は、受給者が児童手当の支払を受ける前に、手当の全部または一部を学校給食費などの支払に充てると申し出た場合に、市区町村がその費用を手当から支払えると定めています。
千葉県習志野市は、申し出の対象になる費用として保育所保育料、幼稚園保育料、預かり保育料、各種給食費を挙げています。申し出は受給者が申出書を出す形で行います。対象となる費用や申出の方法は市区町村が決めるため、お住まいの市区町村の案内で確認する必要があります。
3.2 差し引く費用が児童手当より多ければ、その回の振込はない
埼玉県川口市は、申出書を出すと偶数月の児童手当の支給時に、対象となる費用の額を差し引いた額が支給額になると案内しています。費用が支給額を上回る場合は、児童手当は支給されません。
たとえば2歳の子ども1人で12月の振込が3万円の場合、差し引く費用が2か月分で2万円なら、口座に入るのは1万円です。差し引く費用が3万円以上なら、12月の振込はありません。
児童手当から差し引かれるのは、市区町村の判断で行う保育料の特別徴収と、受給者が申し出た学校給食費などの徴収の2つです。前者は事前に通知が届き、後者は申出書を出した人だけが対象になります。
振込額が月額の2か月分より少ないときは、市区町村から届いた特別徴収の通知や、出した申出書の控えがないかを確かめ、児童手当の担当窓口に問い合わせると理由がわかります。
ここからは、2026年4月に始まった給食費の負担軽減と保育料の無償化の範囲、差し押さえとの違いを見ていきます。