75歳以上の方などが加入する後期高齢者医療制度。毎月の保険料を納めている一方で、「実際にはどのくらい医療費がかかり、どのくらい給付を受けているのか」は、あまり知られていないかもしれません。
筆者はFP(ファイナンシャルプランナー)として家計相談に携わってきましたが、「高額療養費は多くの人が使っているの?」「医療と介護の両方にお金がかかるときの制度はある?」と聞かれることがあります。厚生労働省の「後期高齢者医療事業状況報告」によると、2023年度の被保険者1人当たりの保険給付費は88万8444円、1人当たりの保険料は7万8978円でした。
この記事では、後期高齢者医療の1人当たりの医療費・給付・保険料と、高額療養費や高額介護合算療養費の支給状況を確認します。
1. 【後期高齢者医療】1人当たり保険給付費は88万8444円、保険料は7万8978円
まずは、後期高齢者医療の被保険者1人当たりで、どのくらい医療費がかかり、どのくらいの給付を受け、どのくらいの保険料を納めているのかを見てみましょう。
1.1 1人当たり医療費は96万8102円
厚生労働省の「後期高齢者医療事業状況報告(事業年報)」によると、2023年度の被保険者1人当たりの医療費は96万8102円で、前年度から1.7%増えました。このうち、広域連合が支払う保険給付費は1人当たり88万8444円です。
1.2 保険料は給付の8.9%にあたる
1人当たりの保険料調定額(現年度分)は7万8978円でした。保険給付費に対する保険料の割合は8.9%で、給付の多くは、公費や現役世代が加入する医療保険からの支援金などで支えられています。保険料の収納率は99.51%でした。
なお、厚生労働省の「各保険者の比較(令和5年度)」によると、後期高齢者医療制度の加入者は1978万人、平均年齢は82.7歳です。
2. 【後期高齢者医療】医療費は18兆7982億円、窓口などで支払う自己負担は1兆5663億円
次に、後期高齢者医療全体の医療費と、そのうち給付される金額を確認します。
2.1 医療費の91.7%が給付される
2023年度の後期高齢者医療の医療費は18兆7982億円で、前年度から5.4%増えました。このうち医療給付費は17兆2319億円で、医療費に対する給付の割合(給付率)は91.7%です。
医療費から医療給付費を差し引いた「実質一部負担額」は1兆5663億円でした。医療機関の窓口などで支払った自己負担から、高額療養費などで払い戻された分を除いた、実質的な自己負担の総額にあたります。
2.2 窓口負担の割合によって給付率も違う
窓口負担が3割の現役並み所得者では、医療費は1兆2328億円で、給付率は80.0%でした。窓口負担が2割の一定以上所得者では、医療費は3兆4576億円で、給付率は89.0%です。
3. 【後期高齢者医療】高額療養費は1兆444億円、前年度から27.5%増えた
医療費の自己負担が高額になったときに、上限を超えた分が払い戻されるのが高額療養費です。後期高齢者医療では、どのくらい支給されているのでしょうか。
3.1 2021年度までは6000億円台で推移
2023年度の後期高齢者医療の高額療養費は1兆444億円でした。2022年度の8189億円から2255億円、率にして27.5%増えています。2019年度から2021年度までは6000億円台で推移していました。
増加の理由について、事業年報では説明されていません。なお、2022年10月からは、一定以上の所得がある方の窓口負担割合が1割から2割に変わっています。