2026年は、ポケモンにとって30周年という節目の年です。

2月27日の「Pokémon Day」から30周年企画をスタートし、毎月異なるテーマを設定するなど、1年を通してさまざまな企画を展開しています。

その中で目立つのが、自治体と連携した地域活性化の取り組みです。

10月も全国各地でイベントを予定しており、ポケモンをきっかけに地域の観光や物産に触れてもらう企画を相次いで実施します。

今回は10月の自治体コラボを紹介するとともに、石川県の「ポケモン空港」を大きな事例として取り上げます。さらに、こうした取り組みを支える「ポケモンローカルActs」の仕組みと、ポケモンが地方との連携を続ける理由を見ていきます。

1. 10月も各地で「ポケモン×自治体」のイベントを開催

10月に行われる「ポケモン×自治体」のイベントは以下の通りです。

1.1 沖縄では15離島でガーディのステッカーを配布

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出所:「ポケモンローカルActs」公式サイト

出所:「ポケモンローカルActs」公式サイト

沖縄県では10月1日から2027年2月28日まで、沖縄本島周辺の15離島で「おきなわ応援ポケモン」ガーディのステッカーを配布します。

対象となる地域には、石垣市、宮古島市、久米島町、座間味村などが含まれます。

沖縄県内の複数の離島を対象に、各地域でガーディのステッカーを集められる企画で、ポケモンをきっかけに、観光客が複数の地域を訪れる機会を作ります。

1.2 福井ではカイリューが名古屋にも登場

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出所:「ポケモンローカルActs」公式サイト

出所:「ポケモンローカルActs」公式サイト

福井県では10月3日、4日の2日間、福井県産業会館に「ふくい応援ポケモン」カイリューが登場します。同じ2日間には、名古屋市の全国センター広場でもイベントを開催します。

福井県内だけでなく、県外の都市でも福井の「推しポケモン」を活用して地域の魅力を発信します。

福井では2026年7月から、えちぜん鉄道の「カイリュートレイン」も運行しています。交通機関とポケモンを組み合わせ、観光との接点を増やしています。

1.3 東京では宮崎・長崎コラボフェア

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出所:「ポケモンローカルActs」公式サイト

出所:「ポケモンローカルActs」公式サイト

10月4日には東京で「宮崎・長崎コラボフェア」を開催します。

宮崎だいすきポケモン「ナッシー」とながさき未来応援ポケモン「デンリュウ」を活用した企画で、ご当地コラボ商品の販売やクイズラリー、ポケモンのグリーティングなどが行われる予定です。

宮崎では8月から「ナッシーと巡ろう!宮崎スタンプラリー2026」も実施しています。

2. 石川県に世界初の「ポケモン空港」が開港

2026年の自治体コラボで大きな動きとなったのが、石川県の「のと里山ポケモン・ウィズ・ユー空港」です。

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出所:石川県

出所:石川県

2026年7月7日、のと里山空港が、世界で初めてポケモンの名前を冠した空港としてリニューアルオープンしました。期間は2029年9月30日までの約3年間です。

空港内にはピカチュウのバルーンや、111種類のひこうタイプのポケモンを描いた壁面などを設置。空港そのものをポケモンを楽しめる場所にしました。

石川県は空港への誘客だけでなく、能登各地を巡ってもらうため、「ポケモンのとめぐりバス」も運行しています。

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出所:石川県

出所:石川県

石川県は2026年度予算で、「のと里山ポケモン・ウィズ・ユー空港」の開港に伴う誘客促進として5800万円を計上。新しい愛称を使ったプロモーションや「ポケモンのとめぐりバス」の運行などに取り組みます。

この取り組みは、能登半島地震からの復興とも関係しています。

石川県と一般財団法人ポケモン・ウィズ・ユー財団は2024年7月、被災した子どもたちへの支援、伝統工芸や県産品の普及、観光振興、地域コミュニティの再建などを目的とした包括連携協定を締結しました。

石川県は「ポケモン空港」を通じて、観光需要の創出や関係人口の増加、能登地域のにぎわいにつなげる考えを示しています。

3. 自治体との連携を支える「ポケモンローカルActs」

こうした全国各地の取り組みを支えているのが、株式会社ポケモンの「ポケモンローカルActs」です。

同プロジェクトは2018年4月に始まりました。地域ごとに「推しポケモン」を選び、その地域とポケモン双方の魅力を国内外に発信する取り組みです。

2026年2月末時点で、北海道、岩手県、宮城県、福島県、福井県、三重県、鳥取県、香川県、高知県、長崎県、宮崎県、沖縄県の12道県と連携協定を結んでいます。

連携の方法も幅広く、特産品とのコラボ商品、ラッピング列車やバス、スタンプラリー、観光PR、公園、ポケふたなどに展開しています。

そして注目したいのが、自治体との取り組みにおけるポケモンの使用料を無償としていることです。

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出所:「ポケモンローカルActs」公式サイト

出所:「ポケモンローカルActs」公式サイト

そのため、自治体側は限られた予算の中でも、ポケモンという知名度の高いIPを地域の観光や物産に組み込み、各地域の資源と組み合わせた企画を作ることができます。

自治体からの問い合わせを受け付けるページでは、推しポケモンを活用したイベント、伝統工芸品・名産品・土産品の商品化、ラッピングトレイン、スタンプラリー、観光パンフレットやPR動画などを取り組み例として挙げています。

4. ポケモンローカルActsのきっかけは香川県とヤドン

ポケモンローカルActsのきっかけとなったのは、香川県とヤドンのコラボです。

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出所:「ヤドンパラダイス in 香川」公式サイト

出所:「ヤドンパラダイス in 香川」公式サイト

「うどん」と「ヤドン」の音が似ていることから企画が始まり、2015年には「ヤドン800匹脱走」というエイプリルフール企画を実施。2018年には「ヤドンパラダイス in 香川」を開催し、同年12月にヤドンが「うどん県PR団」に就任しました。

株式会社ポケモンは、香川とヤドンのコラボが好評だったことを振り返り、ポケモンと地方の相性の良さを感じたことがローカルActsにつながったと説明しています。

香川県のように地域名や特産品とポケモンを結び付ける方法は、その後の取り組みにも生かされています。

福井ではカイリュー、宮崎ではナッシー、高知ではヌオー、沖縄ではガーディというように、地域ごとに異なる「推しポケモン」を設定しています。

5. ポケモンはなぜ地方とコラボする?

株式会社ポケモンは、ポケモンローカルActsについて、各地域とポケモンの魅力を国内外に同時に発信し、ポケモンファンに全国のさまざまな地域へ足を運んでもらうことを目指していると説明しています。

そのため、コラボの内容もキャラクターを掲示するだけではありません。

例えば、地域限定の商品なら買い物を通じて地域の特産品を知ってもらえます。ラッピング列車なら交通そのものを観光コンテンツとして活用できます。スタンプラリーなら複数のスポットを巡るきっかけを作れます。

ポケモンの使用料を無償にしたうえで、地域側が持つ観光資源や商品、交通機関などと組み合わせることで、各地で異なる企画を作れる仕組みです。

30周年企画では、毎月異なるテーマを設定し、SNSを活用した「ポケモンクループログラム」も開始。同社はより多くの人にポケモンを身近に感じてもらい、好きになってもらうことを目的として掲げています。

自治体との取り組みも、ポケモンに触れる場所をゲームや商品から現実の街へ広げる活動の一つといえるでしょう。

6. トレンドウォッチャーのひとこと

大蔵 大輔

ポケモンと地方の連携で今後注目したいのが、訪日外国人への波及です。

「ポケモンローカルActs」は、地域とポケモンの魅力を「国内外」に発信することを掲げています。海外でも知られているポケモンを地域の観光PRに組み込めば、日本の地方をまだ知らない旅行者に地域名を知ってもらう入口になります。

特に「ポケふた」やラッピング列車、公園、空港などは、言葉を介さずにポケモンと地域を結び付けやすいコンテンツです。

石川県も「のと里山ポケモン・ウィズ・ユー空港」について、全国だけでなく世界中からポケモンファンを呼び込みたい考えを示しています。

海外のポケモンファンにとって、「日本に行く」だけでなく「このポケモンがいる地域へ行く」という旅行目的が生まれれば、東京や大阪などの大都市から地方へ移動するきっかけにもなります。

30周年を迎えたポケモンが、国内外のファンと現実の地域をつなぐ取り組みをどこまで広げるのか。地方創生という視点からも、今後の展開に注目したいところです。

参考資料

大蔵 大輔