民間企業の労働時間や退職管理などの制度を人事院が調べた「令和7年民間企業の勤務条件制度等調査」の統計表が、2026年9月30日に政府統計の総合窓口(e-Stat)に掲載されました。

定年制がある企業のうち、定年を60歳としている企業は69.7%でした。会社員の退職金は定年のときに受け取ることが多く、厚生労働省の調査では、大学・大学院卒の定年退職者で平均1896万円です。

この記事では、会社員の退職金の平均額を学歴と退職の理由ごとに確認したうえで、民間企業の定年年齢と、定年後も働き続けられる制度がどのくらいの企業にあるのかを見ていきます。

1. 会社員の退職金、最終学歴によって退職金の平均金額はどれくらい変わる?

会社員の退職金の水準は、厚生労働省の「令和5年就労条件総合調査」で確認できます。まずは定年退職した人の平均額を、学歴と職種ごとに見ていきます。

1.1 学歴・職種別に見た定年退職者の退職給付額

定年退職者1人平均の退職給付額は、大学・大学院卒(管理・事務・技術職)が1896万円、高校卒(管理・事務・技術職)が1682万円、高校卒(現業職)が1183万円でした。

会社員の定年退職者1人平均の退職給付額は、大学・大学院卒(管理・事務・技術職)で1896万円です1/2

定年退職者1人平均の退職給付額を学歴・職種別に比べた横棒グラフ。大学・大学院卒(管理・事務・技術職)1896万円、高校卒(管理・事務・技術職)1682万円、高校卒(現業職)1183万円

出所:厚生労働省「令和5年就労条件総合調査 結果の概況」をもとにLIMO編集部作成

  • 大学・大学院卒(管理・事務・技術職):1896万円
  • 高校卒(管理・事務・技術職):1682万円
  • 高校卒(現業職):1183万円

1.2 退職給付額の平均は勤続20年以上かつ45歳以上の退職者が対象

この平均額は、令和4年の1年間に退職した人のうち、勤続20年以上かつ45歳以上の人を対象に集計したものです。勤続年数が20年に届かない人は含まれていません。

ここでいう退職給付額は、一時金で受け取る分と、分割して受け取る分を現在の価値に直した額を合わせた金額です。

2. 会社員の退職金は退職の理由で変わり、早期優遇では2266万円

同じ就労条件総合調査では、退職の理由ごとの退職給付額も公表されています。大学・大学院卒(管理・事務・技術職)の金額を並べると、次のとおりです。

2.1 大学・大学院卒(管理・事務・技術職)の退職事由別の退職給付額

  • 定年:1896万円
  • 会社都合:1738万円
  • 自己都合:1441万円
  • 早期優遇:2266万円

最も高いのは早期優遇の2266万円で、定年の1896万円を370万円上回ります。自己都合の1441万円は、定年より455万円少ない水準です。

2.2 高校卒でも早期優遇が最も高い

高校卒(管理・事務・技術職)でも、早期優遇が2432万円、定年が1682万円、会社都合が1385万円、自己都合が1280万円で、早期優遇が最も高くなっています。厚生労働省は、どの学歴でも早期優遇が最も高いとまとめています。

3. 民間企業の定年「60歳が7割弱、65歳は2割」

退職金を受け取る時期と深く関わるのが、勤務先の定年年齢です。人事院の「令和7年民間企業の勤務条件制度等調査」から、民間企業の定年制と定年年齢を確認します。

3.1 民間企業の99.7%に定年制がある

調査の対象は、常勤の従業員が100人以上の企業のうち、事務・技術関係職種の従業員がいる企業です(令和7年10月1日現在)。このうち定年制がある企業は99.7%でした。

定年制がある企業を100とすると、定年年齢が60歳の企業は69.7%、65歳の企業は24.4%です。

定年制がある企業のうち、定年を60歳としている企業は69.7%です2/2

定年制がある企業の定年年齢別の割合を示した横棒グラフ。60歳69.7%、61〜64歳4.5%、65歳24.4%、66歳以上1.3%

出所:人事院「令和7年民間企業の勤務条件制度等調査」をもとにLIMO編集部作成

  • 60歳:69.7%
  • 61歳以上65歳未満:4.5%
  • 65歳:24.4%
  • 66歳以上:1.3%

3.2 企業規模が小さいほど65歳定年の割合がやや高い

規模別に見ると、65歳定年の企業は500人以上で22.9%、100人以上500人未満で24.8%でした。参考として公表されている50人以上100人未満では25.0%です。

3.3 定年制がある企業の94.7%に継続雇用制度がある

定年制がある企業のうち、定年後も働き続けられる継続雇用制度がある企業は94.7%でした。継続雇用制度がない企業は4.6%です。

会社員の退職金は、大学・大学院卒の定年退職者で平均1896万円でした。民間企業の定年は60歳が69.7%を占め、定年制がある企業の94.7%には定年後の継続雇用制度があります。

勤務先の定年年齢と継続雇用の仕組みは、就業規則で確かめられます。退職金の額や支払いの時期は、退職金規程に書かれています。

ここからは、継続雇用制度の中身と上限年齢を確認し、ファイナンシャル・プランナーとして家計相談をお受けしてきた立場から、退職金と定年後の働き方を一緒に考えるときのポイントを見ていきます。

村岸 理美

今回のデータで注目していただきたいのは、定年を60歳とする企業が69.7%を占める一方で、継続雇用制度がある企業が94.7%にのぼる点です。退職金を受け取る時期と、働き終える時期が同じとは限らないことを前提に、家計の計画を立てることが大切です。