9月28日は、9月末に権利が確定する銘柄の権利付き最終日でした。権利取りのタイミングが過ぎ、次に注目する銘柄を探し始めた方もいるのではないでしょうか。
足元は決算発表が集中する時期から外れていますが、1月期や7月期決算の企業のなかには、9月に中間決算や通期決算を発表したところもあります。ただ、9月は中間配当や株主優待の権利確定が集中するため、こうした決算の情報は埋もれがちです。
積水ハウス<1928>も、そうした企業のひとつです。1月期決算の同社は、9月10日に2027年1月期(2026年2月~2027年1月)の中間決算を発表していました。
次の権利確定は1月末で、期末配当に加えて、魚沼産コシヒカリがもらえる株主優待の権利も確定します。
「住宅メーカー」のイメージが強い同社ですが、利益を最も稼いでいるのはどの事業なのでしょうか。
最新の決算から稼ぎ頭の事業をひも解きながら、改めて見ていきましょう。
1. 積水ハウス<1928>の中間決算は減収も2ケタ増益
同社は1月期決算のため、2026年2月から2027年1月までが「2027年1月期」にあたります。
9月10日に発表した中間期(2026年2月~7月)の連結業績は次のとおりです。
- 売上高:1兆9,656億4,400万円(前年同期比2.5%減)
- 営業利益:1,803億7,000万円(同16.0%増)
- 経常利益:1,690億8,100万円(同23.8%増)
- 中間純利益:1,250億5,300万円(同23.1%増)
営業利益は前年同期から248億円増えましたが、セグメント別に見ると、都市再開発事業の営業利益が222億円増えており、増益額の大半を占めています。同社によると、同事業では積水ハウス・リート投資法人への物件売却等が進みました。一方、国際事業は141億円の減益です。
なお、同社は今期からセグメントの区分を一部見直し、それまで「その他」に含めていた一部の子会社を都市再開発事業に移したほか、本社部門などの費用の割り振り方も変えています。
本記事のセグメント別の前年同期比は、いずれも同社が組み替えた後の前年同期の数値と比べたものです。この組替によって前年同期の都市再開発事業の営業利益は9億円ほど増えていますが、今回の222億円の増益と比べると、区分変更による影響は限られています。
では、こうした一時的な動きに左右されにくい、ふだんの利益の柱はどこにあるのでしょうか。
2. 稼ぎ頭は「シャーメゾン」を支える賃貸住宅管理事業
セグメント単位で最も営業利益が大きかったのは、賃貸住宅管理事業です。
- 賃貸住宅管理事業:売上高3,680億1,600万円(前年同期比2.9%増)、営業利益417億4,500万円(同12.7%増)
連結営業利益の2割強をこの1事業で稼いでおり、戸建住宅事業の営業利益239億9,000万円(同5.2%減)の1.7倍を上回ります。売上高の伸びは2.9%にとどまるものの、営業利益率は前年同期の10.3%から11.3%に上昇しました。
2.1 建てた後も収益が続く、ストック型の仕組み
この事業の中心にあるのが、同社の賃貸住宅ブランド「シャーメゾン」です。
同社グループはシャーメゾンの建築を請け負うだけでなく、完成後の管理・運営も積水ハウスシャーメゾンPM各社が担っています。
建築は受注のたびに売上が立つ請負型ですが、管理は物件がある限り収入が続くストック型です。
同社は、シャーメゾンを都市部(同社のいう「S・Aエリア」)の好立地に供給していると説明しています。
そのうえで、リーシング活動による空室期間の短縮や、入居者の入れ替わり時のバリューアップを通じて、高い入居率・賃料水準の維持・向上を図ったとしています。
好立地に建てたシャーメゾンを、グループで長く管理し続ける。この流れが、物件売却のような振れの大きい利益とは別に、同社の土台となる利益を生んでいます。
2.2 増益を押し上げたのは都市再開発事業の物件売却
都市再開発事業の営業利益は273億5,200万円(前年同期比437.7%増)と、前年同期の5倍超になりました。
同社によると、積水ハウス・リート投資法人への都市型賃貸マンション「プライムメゾン用賀砧公園」(東京都世田谷区)など6物件の売却が進みました。
保有物件を売却して利益を計上する事業のため、売却のタイミングによって期ごとの業績が大きく振れやすい点には注意が必要です。
2.3 MDC買収後の国際事業は営業利益93.2%減
国際事業は売上高4,863億5,300万円(前年同期比20.8%減)、営業利益10億3,600万円(同93.2%減)と大きく落ち込みました。
同社は2024年4月に米国の住宅メーカーM.D.C. Holdingsの買収を完了し、2026年1月には米国戸建住宅事業の子会社を再編して、SEKISUI HOUSE U.S., Inc.のもとで「One Company体制」を始動させています。
その米国戸建住宅事業では、米国経済の先行き不透明感から顧客の様子見姿勢が続き、販売・引渡し戸数が減少したことや、インセンティブ(購入者向けの販売促進策)付与の影響で減益となったと同社は説明しています。
一方、米国賃貸住宅開発事業ではシアトルとサンディエゴの住宅部分など4物件の売買契約を締結し、2026年7月に引渡しを完了しました。この売却は第3四半期に計上される予定です。