75歳以上の医療費の窓口負担は1割・2割・3割に分かれ、どの割合になるかは所得区分で決まります。

厚生労働省が2026年9月18日に公表した後期高齢者医療事業状況報告(事業月報)の2026年5月分では、被保険者2082万622人のうち窓口負担3割の現役並み所得者が176万6641人、住民税非課税にあたる低所得Ⅱ・Ⅰが826万919人でした。この割合は、都道府県によって大きく違います。

この記事では、所得区分の決まり方と2026年8月から見直された高額療養費の上限、そして所得区分の割合を都道府県別に確認していきます。

1. 後期高齢者医療の窓口負担は1割・2割・3割、所得区分で分かれる

後期高齢者医療制度では、被保険者一人ひとりの所得により、窓口負担の割合と高額療養費の上限が決まります。

1.1 3割は現役並み所得者、2割は一般Ⅱ

千葉県後期高齢者医療広域連合の案内によると、住民税の課税所得が145万円以上の被保険者は現役並み所得者で、窓口負担は3割です。課税所得が380万円以上、690万円以上になると、現役並み所得者の中でもⅡ、Ⅲと区分が上がります。

課税所得が28万円以上145万円未満で、年金収入とその他の合計所得金額が単身で200万円以上、2人以上の世帯で合計320万円以上の人は一般Ⅱで2割です。それ以外の人は1割で、このうち世帯全員が住民税非課税の人は区分Ⅱ、さらに世帯全員の所得が0円の人などは区分Ⅰにあたります。

1.2 判定は世帯単位で、毎年8月1日に見直される

ただし、窓口負担の割合は本人の所得だけでは決まりません。同じ世帯にいる後期高齢者の所得も判定に使われるのです。

判定は毎年8月1日に、前年の所得をもとに行われます。

2. 2026年8月から高額療養費の上限が所得区分ごとに見直された

所得区分は、1か月の医療費の自己負担に上限を設ける高額療養費制度にも使われます。厚生労働省は、2026年8月診療分から高額療養費の上限額を見直しました。

2.1 70歳以上の区分ごとの上限額

一般Ⅱ・一般Ⅰの外来の上限は月1万8000円から「2万2000円」に上がり、外来の年間上限も14万4000円から21万6000円になりました。区分Ⅱの外来の上限は月8000円から1万1000円に上がり、あわせて年9万6000円の外来の年間上限が新しく設けられています。

70歳以上の高額療養費の自己負担限度額(2026年8月〜2027年7月)1/2

70歳以上の所得区分ごとの窓口負担割合、外来の上限、世帯の月の上限、年間上限を示した表

出所:厚生労働省「高額療養費制度の見直しについて(令和8年8月診療分から)」をもとにLIMO編集部作成

図に入れた区分ごとの上限額は次のとおりです。

【現役並み所得者(3割)】

  • 現役並みⅢ(課税所得690万円以上):月27万300円+(医療費−90万1000円)×1%、年間上限168万円
  • 現役並みⅡ(課税所得380万円以上):月17万9100円+(医療費−59万7000円)×1%、年間上限111万円
  • 現役並みⅠ(課税所得145万円以上):月8万5800円+(医療費−28万6000円)×1%、年間上限53万円

【一般(2割・1割)】

  • 一般Ⅱ・一般Ⅰ:外来は月2万2000円(年間上限21万6000円)、外来と入院を合わせて月6万1500円、年間上限53万円

【住民税非課税(1割)】

  • 区分Ⅱ:外来は月1万1000円(年間上限9万6000円)、外来と入院を合わせて月2万5700円、年間上限29万円
  • 区分Ⅰ:外来は月8000円、外来と入院を合わせて月1万5700円、年間上限18万円

2.2 年間上限は8月から翌年7月までの1年で数える

今回新しく設けられた年間上限についてですが、「1月~12月」や「4月~3月」ではない点に注意が必要です。

ここでいう年間とは8月から翌年7月までを指し、上限を超えた分は加入医療保険に申請することで還付されるのです。

筆者がかつて町役場で後期高齢者医療制度を担当していたときも、窓口で説明が求められる点でした。

3. 【2026年5月分】後期高齢者医療の所得区分の割合は都道府県でこれだけ違う

ここからは、後期高齢者医療事業状況報告(事業月報)の2026年5月分で、所得区分ごとの被保険者の割合を都道府県別に並べてみます。全国では、3割の現役並み所得者が8.5%、住民税非課税にあたる低所得Ⅱ・Ⅰが39.7%でした。

3.1 窓口負担3割の割合は東京都15.6%、秋田県4.7%

現役並み所得者の割合が最も高いのは東京都の15.6%で、神奈川県の12.7%が続きました。最も低いのは秋田県の4.7%で、東京都との差は3倍を超えます。

3.2 住民税非課税にあたる区分は鹿児島県55.1%、福井県29.1%

低所得Ⅱ・Ⅰの割合が最も高いのは鹿児島県の55.1%で、被保険者の半数を超えていました。最も低いのは福井県の29.1%です。

後期高齢者医療の所得区分別の割合(2026年5月分・上位5県と下位5県)2/2

都道府県別に、窓口負担3割の現役並み所得者の割合と、住民税非課税にあたる低所得Ⅱ・Ⅰの割合の上位5県と下位5県を示した横棒グラフ

出所:厚生労働省「後期高齢者医療事業状況報告(月報:速報)」令和8年5月をもとにLIMO編集部作成

図に入れた都道府県の割合は次のとおりです。

【現役並み所得者(3割)の割合・上位5県】

  • 東京都:15.6%
  • 神奈川県:12.7%
  • 沖縄県:10.4%
  • 千葉県:10.2%
  • 愛知県:9.9%

【現役並み所得者(3割)の割合・下位5県】

  • 秋田県:4.7%
  • 鹿児島県:4.8%
  • 青森県:5.1%
  • 長崎県:5.2%
  • 宮崎県:5.2%

【低所得Ⅱ・Ⅰ(住民税非課税)の割合・上位5県】

  • 鹿児島県:55.1%
  • 宮崎県:52.6%
  • 北海道:50.4%
  • 高知県:49.8%
  • 愛媛県:49.2%

【低所得Ⅱ・Ⅰ(住民税非課税)の割合・下位5県】

  • 福井県:29.1%
  • 富山県:31.2%
  • 静岡県:32.8%
  • 山形県:32.9%
  • 長野県:33.8%

割合は、事業月報の都道府県別の被保険者数をもとに算出しました。被保険者数には所得区分が分からない人も含まれるため、区分ごとの合計とは一致しない場合があります。

太田 彩子

所得区分は保険料の計算とは別の物差しで、同じ年金額でも世帯の状況によって区分が変わります。自治体で後期高齢者医療を担当していた頃も、世帯の一人の所得で区分が決まる点はなかなか伝わりにくいところでした。まずは手元の資格確認書などで、今の負担割合を確かめるところから始めましょう。