10月15日の年金支払日が近づくと、「10月から天引きの額が変わった」という声が増えてきます。
75歳以上の人が納める後期高齢者医療の保険料は、4月・6月・8月の年金からは仮の額で、10月・12月・翌年2月の年金からは確定した額をもとに差し引かれます。厚生労働省が2026年9月18日に公表した後期高齢者医療事業状況報告(事業月報)では、2026年5月分の被保険者は2082万622人でした。
この記事では、仮徴収と本徴収のしくみ、保険料の決まり方、そして年齢階級別に見た被保険者の分布を順に見ていきましょう。
1. 【10月支給分から】後期高齢者医療の保険料は年金天引きが「本徴収」に切り替わる
後期高齢者医療の保険料を年金から差し引くことを、特別徴収といいます。
特別徴収は1年を前半と後半に分けて行われ、10月の年金支払いがその切り替わりにあたります。
1.1 4月・6月・8月は「仮徴収」で、原則2月と同じ額
その年度の保険料は、前年の所得が確定してから計算されます。そのため、年度の初めの3回は仮の額で差し引かれます。
横浜市の案内では、4月・6月・8月に支給される年金から納める保険料を仮徴収とし、各月の額は原則として2月に納めた額と同じになると説明しています。
1.2 10月・12月・翌年2月は「本徴収」で、年間保険料の残りを3回に分ける
年間の保険料額は7月に決まります。本徴収は、その年間保険料額から仮徴収で納めた額を引き、残りを10月・12月・翌年2月の3回に分けて差し引くしくみです。
前年度より保険料が増えた人は、仮徴収の3回で足りなかった分が本徴収の3回に上乗せされます。10月に天引きの額が変わるのは、このためです。
1.3 試算:年間保険料が前年度より増えた人の本徴収額
たとえば、前年度の2月に1万4000円が差し引かれ、今年度の年間保険料が9万6000円に決まった人で考えてみます。
仮徴収は1万4000円が3回で、合計4万2000円です。残りの5万4000円を3回に分けるので、10月・12月・翌年2月の本徴収は1回あたり「1万8000円」になります。
1回あたり4000円増えた計算ですが、年間の保険料が途中で変わったわけではありません。実際の額は、市区町村から届く通知書で確かめましょう。
2. 後期高齢者医療の保険料は均等割額と所得割額の合計で決まる
本徴収の額を左右する年間保険料は、都道府県ごとの後期高齢者医療広域連合が定める保険料率で計算されます。
2.1 令和8・9年度の全国平均は月7989円
保険料は、被保険者全員が同じ額を負担する均等割額と、所得に応じて負担する所得割額を合計したものです。
厚生労働省によると、令和8・9年度の医療分の全国平均は均等割額が年5万6083円、所得割率が10.17%でした。1人当たりの平均保険料額は年9万5875円、月額では7989円の見込みです。
令和6・7年度の平均保険料額は月7411円だったので、578円増えました。保険料率は2年ごとに見直されるため、令和8年度は本徴収の額が前年度から変わりやすい年にあたります。
2.2 令和8年度から子ども・子育て支援金分が加わった
令和8年度からは、医療分とは別に子ども・子育て支援金分の保険料も加わりました。
全国平均で均等割額が年1351円、所得割率が0.25%で、1人当たりの平均は月194円の見込みとされています。
3. 【2026年5月分】後期高齢者医療の被保険者は2082万622人、75〜79歳が4割
ここからは、後期高齢者医療事業状況報告(事業月報)の最新の数値で、天引きの対象になりうる被保険者の年齢構成を確認します。
3.1 年齢階級別に見ると75〜79歳が845万7126人
2026年5月分の被保険者2082万622人を年齢階級別に分けると、最も多いのは75〜79歳の845万7126人で、全体の40.6%を占めていました。
図に入れた年齢階級別の被保険者数と構成割合は次のとおりです。
- 65〜74歳(障害認定者):19万3977人(0.9%)
- 75〜79歳:845万7126人(40.6%)
- 80〜84歳:545万5937人(26.2%)
- 85〜89歳:388万5620人(18.7%)
- 90〜94歳:208万3666人(10.0%)
- 95〜99歳:64万925人(3.1%)
- 100歳以上:10万3371人(0.5%)
3.2 被保険者は前年同月から2.1%増えた
被保険者数は、前年の同じ月と比べて2.1%増えていました。毎年、新たに75歳になる人が加わっているためです。
このうち、会社員などの家族の被扶養者だった人で、保険料の軽減を受けている資格取得後2年以内の人は15万5933人でした。事業月報の注記によると、資格を得てから2年を経過するまでは保険料の軽減が適用される人たちです。
3.3 新たに75歳になった人は普通徴収から始まる
年度の途中で75歳になった人は、すぐには年金から天引きされません。横浜市の案内では、その年度の4月3日以降に75歳になった人や転入した人は、口座振替や納付書で納める普通徴収の対象になるとしています。
年金から天引きされていない75歳の人は、納付書や口座振替の案内が届いていないか確かめておきましょう。
後期高齢者医療の保険料の計算を担当していた頃、10月の年金支払いのあとは「天引きが増えた」という問い合わせが続きました。多くは年間の保険料が変わったのではなく、仮徴収で足りなかった分が本徴収に回っただけでした。まず7月ごろに届く保険料の通知書を手元に用意しておくと、落ち着いて確かめられます。
