4. 年金をもらいながら働くなら知っておきたい「在職老齢年金」と社会保険
実際に定年後も働きながら年金を受け取る場合、知っておきたい制度がいくつかあります。まず気をつけたいのが「在職老齢年金(ざいしょくろうれいねんきん)」という仕組みです。
これは、会社などで働きながら受け取る厚生年金について、給与と年金の合計額が一定の基準を超えると、年金の一部または全額が支給停止となる場合がある制度です。
基準額は年度によって変わるため、働きながら年金を受け取る場合は、ご自身の給与と年金のバランスを事前に確認しておくことが重要です。
また、パートやアルバイトであっても、一定の条件を満たすと、勤務先の社会保険(健康保険・厚生年金保険)に加入することになります。
社会保険に加入すると、給与から保険料が差し引かれるため、その分だけ目先の手取り額は減ります。
一方、厚生年金に加入して働き続ければ、その加入実績が将来の年金額に反映されます。また、健康保険に加入することで、一定の条件を満たせば病気やケガで仕事を休んだときに「傷病手当金」が支給されるなど、保障が手厚くなる面もあります。
「手取りが減るから損」と考えるだけではなく、現在の手取りと将来の年金、万が一の際の保障まで含めて考えることが大切です。
毎年誕生月に届く「ねんきん定期便」や、年金額が変更された際に届く「年金額改定通知書」とあわせて、毎月の給与明細に記載されている社会保険料の欄もチェックする習慣をつけておきましょう。
制度は法改正によって変わることもあるため、わからないことがあれば年金事務所や勤務先の担当窓口などに確認すると安心です。
5. 長く働く時代だからこそ「稼ぐ・守る・確認する」をセットに
今回は、65歳以上の人口動態や就業状況、消費者トラブルにまつわる3つの数字と、働きながら年金を受け取る際に知っておきたいポイントについて解説しました。
長く働くことは、収入を得るだけでなく、社会とのつながりを保ち、日々の生活にハリをもたらす選択肢の一つとなっています。
一方、長く働いて得た収入をしっかり守る「防衛策」や、自分がどのような年金・社会保険制度の対象になっているのかを確認することも欠かせません。
これから長く働く時代だからこそ、「稼ぐ」「守る」「確認する」の3つをセットにしてライフプランを考えることが、安心して老後を過ごすことにつながるでしょう。
これまで数多くの家計相談に携わってきました。シニア世代の働き方は、単なる生活費の補填だけでなく、心の豊かさや健康維持にもつながっていると感じます。
年金制度や社会保険の仕組みは複雑で難しく感じがちですが、まずはご自身の年金見込額や毎月の手取り額を把握する、小さな一歩から始めてみてください。
参考資料
- 総務省統計局「統計からみた我が国の高齢者-「敬老の日」にちなんで-」
- 独立行政法人国民生活センター「2025年度 65歳以上の消費生活相談の状況」
- 日本年金機構「働きながら年金を受給する皆さま 在職老齢年金制度が改正されます」
村岸 理美
