9月20日に公表された総務省「統計トピックス No.149 統計からみた我が国の高齢者 -「敬老の日」にちなんで-」によれば、65 歳以上人口は29.6%と過去最高を更新し、2040年には34.8%に、 2050年には37.1%になると見込まれています。

高齢化が進む現代の日本。現代の40~50歳代の方はきたる老後に向け、何をどう備えるかじっくりと考えたいもの。とりわけ40歳代~50歳代とは収入がだんだん伸びてくる一方で、子どもの教育費や住宅ローンの返済など、まとまった支出とも重なりやすい年代。「働き盛りのいま、同じ世代の家庭はどれくらい蓄えているのだろう」と、ふと気になる方も多いのではないでしょうか。

この記事ではJ-FLECの2025年の調査から、世帯主が40歳代・50歳代の二人以上世帯にしぼって、その貯蓄の実像を追いかけます。取り上げるのは、平均だけでなく、まんなかの世帯を示す中央値、そして金額帯ごとの広がりまで。ならべてみると、ひとつの平均値からは見えてこない、家庭ごとのリアルな差が浮かび上がってきます。よその家とくらべて焦るためではなく、自分の立ち位置を確かめる材料として、いっしょに読み進めていきましょう。

宮野 茉莉子

40歳代・50歳代は、収入も支出もいちばん大きく動く年代です。まずは、二人以上世帯の蓄えが、年代とともにどう変わっていくのかを、素直にながめてみましょう。

40歳代と50歳代の数字を横にならべると、この10年ほどでの蓄えの変わり方が見えてきます。

1. 40歳代・50歳代、二人以上世帯の貯蓄はいくら?

金融経済教育推進機構(J-FLEC)「家計の金融行動に関する世論調査」2025年で、世帯主の年代ごとに二人以上世帯の金融資産をならべると、40歳代の世帯は平均1486万円、50歳代の世帯は平均1908万円でした。ここでいう金融資産は、銀行などの預貯金に、保険や投資信託、株式などをくわえた、家計がもつ蓄え全般を指します。ひとつ手前の30歳代が平均1096万円ですから、40歳代、50歳代と年代が進むにつれて、蓄えは一段ずつ積み上がっていくことがわかります。

世帯主の年代別にみた二人以上世帯の金融資産(平均と中央値)1/2

二人以上世帯の平均金融資産は40歳代1486万円、50歳代1908万円と年代とともに増える

出所:金融経済教育推進機構(J-FLEC)「家計の金融行動に関する世論調査」2025年をもとにLIMO編集部作成

いっぽう、まんなかの世帯を示す中央値をみると、40歳代は500万円、50歳代は700万円です。平均という数字は、ごく一部の大きく貯めた世帯があると、そちらへ引っぱられて高めに出ます。そこで、蓄えの少ない順に世帯をならべたとき、ちょうど中央にくる額=中央値もあわせて見ておくと、暮らしの実感により近い姿がつかめます。40歳代では、平均1486万円と中央値500万円のあいだにおよそ1000万円もの開きがあり、同じ年代のなかでも蓄えの幅がかなり大きいことがうかがえます。

40歳代から50歳代にかけては、平均で400万円あまり、中央値でも200万円ほど蓄えがふえています。収入が伸びる時期であると同時に、この年代は教育費や住宅ローンの負担がもっとも重なりやすい時期でもあります。それでも蓄えが着実に積み上がっていくのは、多くの世帯が、やりくりを重ねながら少しずつ備えを続けている表れといえるでしょう。ちなみに、ここでの金額は、貯蓄がまだない世帯もふくめて計算したものである点にも、あわせて留意しておきたいところです。

宮野 茉莉子

平均と中央値をならべると、同じ40歳代・50歳代でも、蓄えのぐあいには大きな幅があることが見えてきます。平均の数字は、あくまで全体をならした目安として受けとめておくのがよさそうです。

では、その幅は実際どれくらい広いのでしょうか。次のページでは、蓄えを金額帯ごとに分けてながめ、貯蓄のない世帯から3000万円をこえる世帯まで、どのように分かれているのかを確かめます。自分の家計がいまどのあたりにいるのかをつかんだうえで、働き盛りの時期に合った備え方を、いっしょに考えていきましょう。同じ年代でも家庭ごとに事情はさまざまですから、平均という一点だけを追いかけるより、幅そのものを見たほうが、気持ちもずっと楽になります。ほんとうの分布に目を向けてみましょう。