配偶者が亡くなったときに受け取れる遺族年金は、亡くなった方が会社員だったのか、自営業やフリーランスだったのかで中身が変わります。

日本年金機構は、遺族基礎年金の額を令和8年4月分から年84万7300円と示しています。昭和31年4月1日以前に生まれた方は年84万4900円です。

この記事では、遺族厚生年金の額の決まり方を具体的な計算例で確かめたうえで、厚生年金の記録がない方が亡くなったときに国民年金から出るものを整理します。

1. 遺族厚生年金を受け取れるのは、死亡した方が4つの要件のどれかを満たすとき

まず、遺族厚生年金がどんなときに支給されるのかを確かめます。

日本年金機構は、次の1から4のいずれかの要件を満たしている方が死亡したときに、遺族に遺族厚生年金が支給されると説明しています。

1.1 短期要件にあたる3つのケース

1つ目は厚生年金保険の被保険者である間に死亡したとき、2つ目は厚生年金の被保険者期間に初診日がある病気やけがが原因で初診日から5年以内に死亡したときです。

3つ目は、1級・2級の障害厚生年金または障害共済年金を受け取っている方が死亡したときです。この3つはまとめて短期要件と呼ばれます。

1と2の要件については、死亡日の前日において、保険料納付済期間が国民年金加入期間の3分の2以上あることが必要です。保険料免除期間も納付済期間に含めて数えます。

1.2 長期要件にあたるのは老齢厚生年金の受給資格を満たした方の死亡

4つ目は、老齢厚生年金の受給資格を満たした方が死亡したときです。こちらは長期要件と呼ばれます。

この場合は、保険料納付済期間、保険料免除期間および合算対象期間に、65歳以降の厚生年金保険の被保険者期間を合算した期間が25年以上ある方に限られます。

短期要件と長期要件の違いは、計算に使う月数にも表れます。短期要件にあたる1・2・3の場合は、厚生年金の被保険者期間が300月に届かないときでも300月とみなして計算されます。

2. 平均標準報酬額40万円で480月加入なら、遺族厚生年金は年78万9264円

ここからは遺族厚生年金の額を、具体的な計算例で確かめます。

遺族厚生年金の額は、死亡した方の老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3です。亡くなった方の平均標準報酬額を40万円、厚生年金の加入月数を480月として計算します。

2.1 報酬比例部分は平均標準報酬額と加入月数で決まる

報酬比例部分は、平成15年4月以降の加入期間について、平均標準報酬額に5.481を1000で割った数を掛け、さらに加入月数を掛けて求めます。

40万円で480月加入なら、報酬比例部分は年105万2352円になります。平成15年3月以前の加入期間がある場合は、平均標準報酬月額に7.125を1000で割った数を掛けた分が別に加わります。

2.2 その4分の3が遺族厚生年金の額

報酬比例部分の年105万2352円に4分の3を掛けると、遺族厚生年金は年78万9264円です。

月額の目安は約6万5772円になります。ここに遺族の年齢や子の有無に応じた上乗せが加わるかどうかで、世帯に入る額は変わります。

平均標準報酬額40万円で480月加入した場合の遺族厚生年金の額1/2

平均標準報酬額40万円と加入月数480月から報酬比例部分の年105万2352円を出し、その4分の3にあたる年78万9264円と月額の目安を並べた表

出所:日本年金機構『報酬比例部分』を参考にLIMO編集部作成

3. 国民年金だけだった配偶者が亡くなったときは、死亡一時金か寡婦年金が出る

亡くなった方に厚生年金の記録がなければ、遺族厚生年金は出ません。その代わりに国民年金の側から出るものがあります。

子がいるかどうかで、受け取れるものが分かれます。

3.1 子がいれば遺族基礎年金が2026年4月分から年84万7300円

遺族基礎年金を受け取れるのは、子のある配偶者と子です。ここでいう子は、18歳になった年度の3月31日までにある方、または20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級の状態にある方に限られます。

子のある配偶者が受け取るときの基本額は、令和8年4月分から年84万7300円です。昭和31年4月1日以前に生まれた方は年84万4900円になります。

ここに子の加算額が乗ります。1人目および2人目の子の加算額は各24万3800円、3人目以降の子の加算額は各8万1300円です。

3.2 子がいないときは死亡一時金が12万円から32万円

子がいない場合、遺族基礎年金は出ません。このとき受け取れる可能性があるのが死亡一時金です。

死亡一時金は、死亡日の前日において第1号被保険者として保険料を納めた月数が36月以上ある方が、老齢基礎年金・障害基礎年金を受けないまま亡くなったときに支給されます。

額は保険料を納めた月数に応じて12万円から32万円です。付加保険料を納めた月数が36月以上ある場合は8500円が加算されます。

受け取れるのは亡くなった方と生計を同じくしていた遺族で、配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹のうち優先順位の高い方になります。

保険料を納めた月数ごとの死亡一時金の額2/2

第1号被保険者として保険料を納めた月数の6区分ごとに、死亡一時金が12万円から32万円まで段階的に上がることを並べた表

出所:日本年金機構『死亡一時金』を参考にLIMO編集部作成

納めた月数ごとの額は次のとおりです。

  • 36月以上180月未満:12万円
  • 180月以上240月未満:14万5000円
  • 240月以上300月未満:17万円
  • 300月以上360月未満:22万円
  • 360月以上420月未満:27万円
  • 420月以上:32万円

3.3 寡婦年金は60歳から65歳になるまで受け取れる

もうひとつ、妻に限って受け取れる寡婦年金があります。

寡婦年金は、死亡日の前日において国民年金の第1号被保険者として保険料を納めた期間および保険料免除期間が10年以上ある夫が亡くなったときに、その夫と10年以上継続して婚姻関係にあり、死亡当時にその夫に生計を維持されていた妻に支給されます。

受け取れるのは、その妻が60歳から65歳になるまでの間です。額は夫の第1号被保険者期間だけで計算した老齢基礎年金の4分の3になります。

亡くなった夫が老齢基礎年金・障害基礎年金を受けたことがあるときは支給されません。妻が繰上げ支給の老齢基礎年金を受けているときも支給されません。

3.4 死亡一時金と寡婦年金はどちらか一方を選ぶ

両方の要件を満たすことはありますが、受け取れるのはどちらか一方です。

また、遺族が遺族基礎年金の支給を受けられるときは死亡一時金は支給されません。ただし、子に遺族基礎年金が発生する場合で、その子と生計を同じくする遺族基礎年金の受給権を有しない父または母がいることにより子の遺族基礎年金の支給が停止されるときは、その父または母が死亡一時金を受け取れます。

この扱いには期間の区切りがあります。令和8年4月1日から令和10年3月31日までに権利が発生した死亡一時金を父または母が受け取った場合、生計を同じくする子の遺族基礎年金は引き続き支給停止になります。

熊谷 良子

厚生年金の記録があるかないかで、請求する年金の名前も出る額も変わります。基礎年金番号通知書や年金手帳、ねんきん定期便を先に出しておくと、窓口で加入記録を確かめやすくなります。