1. 【2026年9月8日公表】一般労働者とパートタイム労働者の差は45万4630円
同じ職場で働いていても、雇用形態が違えば月の給与は大きく変わります。
厚生労働省は2026年9月8日、毎月勤労統計調査の2026年7月分結果速報を公表しました。雇用形態別の金額が確かめられます。
1.1 一般労働者は57万8123円、パートタイム労働者は12万3493円
事業所規模5人以上の調査産業計で、7月の現金給与総額は一般労働者が57万8123円、パートタイム労働者が12万3493円でした。
差は45万4630円で、倍率にすると4.68倍になります。
前年同月比はどちらも4.7%増で、伸び率そのものは同じでした。
1.2 差の4割は特別に支払われた給与から生じている
内訳を見ると、きまって支給する給与は一般労働者が38万5178円、パートタイム労働者が11万7009円で、差は26万8169円です。
これに対し、賞与などの特別に支払われた給与は一般労働者が19万2945円、パートタイム労働者が6484円で、差は18万6461円になります。差の額そのものはきまって支給する給与のほうが大きいものの、18万6461円は45万4630円の4割にあたります。
毎月の給与の差に加えて、7月に支給される賞与の差が上乗せされる形です。
2. 役職別の給与と並べるとどう見えるか
雇用形態の差を、役職による差と並べてみます。
2.1 部長級と非役職者の差は32万5300円
厚生労働省の令和7年賃金構造基本統計調査によると、一般労働者のうち雇用期間の定めのない方について、男女計の賃金(所定内給与額)は部長級が月63万5800円、非役職者が月31万500円でした。
課長級は月52万9200円、係長級は月39万9200円です。部長級と非役職者の差は32万5300円になります。
ただし同じ調査では、部長級の平均年齢は53.1歳で勤続年数は22.6年、非役職者は41.8歳で10.8年です。役職による差には、11.3歳の年齢差と11.8年の勤続年数差が含まれています。
2.2 比べるなら数えている範囲をそろえる
役職による差が32万5300円であるのに対し、一般労働者とパートタイム労働者の差は45万4630円でした。
ただし、この2つの数字は別々の調査から出たものです。役職の差は所定内給与額、雇用形態の差は賞与を含む現金給与総額で、数えている範囲が違います。そのまま優劣をつけられるものではありません。
同じ所定内給与でそろえると、一般労働者の35万6413円とパートタイム労働者の11万3843円で差は24万2570円となり、役職の差32万5300円を下回ります。どちらが大きいかは、賞与を含めるかどうかで入れ替わることになります。
3. パートタイム労働者の給与の中身
12万3493円という金額が何で構成されているのかも見ておきます。
3.1 ほとんどが所定内給与
パートタイム労働者の現金給与総額12万3493円のうち、きまって支給する給与が11万7009円を占めます。
その内訳は、残業代を含まない所定内給与が11万3843円、残業代などの所定外給与が3166円です。所定外給与は前年同月比0.1%減でした。
3.2 賞与にあたる部分は6484円
賞与などの特別に支払われた給与は6484円で、現金給与総額の5.3%にとどまります。
一般労働者では19万2945円で全体の33.4%を占めますので、賞与が給与に占める重みがまったく違うことになります。
ただし特別に支払われた給与の前年同月比は5.9%増で、一般労働者の6.3%増に近い伸びでした。
差45万4630円の内訳は、きまって支給する給与で26万8169円、特別に支払われた給与で18万6461円。賞与にあたる部分が、差全体の4割を占めていることになります。
雇用形態の差45万4630円と、役職の差32万5300円。この2つは数えている範囲が違います。そろえて比べるなら、同じ所定内給与どうしで見るほうが近くなります。
一般労働者の所定内給与は35万6413円、パートタイム労働者は11万3843円で、差は24万2570円。役職の差32万5300円を8万2730円下回ります。
賞与を含めるかどうかで、どちらが大きいかは入れ替わることになります。調査も対象期間も違うので厳密な比較にはなりませんが、並べる前に範囲をそろえておく必要があるということだと思います。
4. 産業によって差の大きさは違う
雇用形態の差は、どの産業でも同じではありません。
4.1 最も大きいのは建設業の54万8796円
産業別に見ると、一般労働者とパートタイム労働者の差が最も大きかったのは建設業で54万8796円でした。
卸売業,小売業が53万6689円、製造業が52万7348円と続きます。
4.2 最も小さいのは飲食サービス業等の31万8746円
差が小さかったのは飲食サービス業等の31万8746円、医療,福祉の32万2919円、生活関連サービス等の32万4818円でした。飲食サービス業等については、一般労働者の現金給与総額40万5658円が前年同月比0.4%減となっていることも差を小さくしています。
情報通信業は40万983円で、パートタイム労働者の額そのものが19万4800円と最も高くなっています。ただしこの額は前年同月比30.6%増で、速報値としては大きく動いた数字です。
5. この差をそのまま時給の差と読まない
金額の差には、働いた時間の長さも含まれています。
5.1 パートタイム労働者は働く時間が短い
パートタイム労働者は、同じ事業所の一般労働者より1日の所定労働時間が短いか、1週間の所定労働日数が少ない労働者を指します。
7月の総実労働時間は、パートタイム労働者が80.2時間、一般労働者が169.5時間でした。月の給与が少ないのは、時間当たりの単価だけでなく、働いた時間の長さも関わっているということです。
ただし時間の長さだけで説明がつくわけではありません。総実労働時間は一般労働者の47.3%であるのに対し、現金給与総額は21.4%です。時間の比率どおりに支払われていれば27万3543円になる計算で、実際の12万3493円とは開きがあります。
5.2 時間当たり給与は1460円だった
同じ調査で、パートタイム労働者の時間当たり給与は1460円でした。この数値は、所定内給与を所定内労働時間で割って算出されています。
同じ計算を一般労働者に当てはめると、所定内給与35万6413円を所定内労働時間156.1時間で割って2283円です。時間当たりでそろえると、差は1.56倍まで縮みます。
時間当たり給与の前年同月比は5.7%増でした。一方で所定内労働時間は0.9%減っており、単価が上がったぶんを時間の減少が一部打ち消した形です。所定内給与の伸びが4.8%にとどまったのはこのためです。
6. 数字を自分の話に置き換えるときに見ること
平均額をそのまま自分にあてはめる前に、確かめたい点があります。
6.1 7月は賞与が入る月
7月の現金給与総額は夏の賞与を含みます。賞与のない月と比べると額が大きくなりますので、年間の水準として見るときは注意が必要です。
6.2 事業所規模で数字が変わる
事業所規模30人以上で見ると、一般労働者の現金給与総額は62万3477円、パートタイム労働者は13万8497円でした。5人以上の数字より、どちらも高くなっています。
6.3 速報値は確報で改定されることがある
今回の2026年7月分は速報値です。のちに公表される確報で数値が改定される場合があります。
7. まとめにかえて
2026年7月の現金給与総額は、一般労働者が57万8123円、パートタイム労働者が12万3493円で、差は45万4630円でした。倍率にすると4.68倍です。
差のうち18万6461円は、賞与などの特別に支払われた給与によるものでした。
産業別では建設業の54万8796円が最も大きく、飲食サービス業等の31万8746円が最も小さくなっています。
一方で役職別の賃金は、部長級が月63万5800円、非役職者が月31万500円で差は32万5300円でした。金額の差を見るときは、働いた時間の長さと、賞与を含むかどうかをそろえて比べてください。
8. 著者からの一言コメント
現金給与総額で見ると4.68倍ですが、時間当たりでそろえると1.56倍になります。一般労働者の所定内給与35万6413円を所定内労働時間156.1時間で割ると2283円。パートタイム労働者の1460円と並べた倍率です。
とはいえ、時間の差だけで説明がつくわけでもありません。総実労働時間はパートタイム労働者が80.2時間、一般労働者が169.5時間で47.3%。一方で現金給与総額は21.4%です。時間どおりに支払われていれば27万3543円になる計算で、実際の12万3493円とは2.2倍の開きがあります。
もうひとつ、時間当たり給与は前年同月比5.7%増ですが、所定内労働時間は0.9%減っています。単価が上がったぶんを、時間の減少が一部打ち消した形です。
4.68倍と1.56倍は、同じ調査の同じ月から出た数字です。金額を比べるときは、時間をそろえたかどうかを先に確かめておきたいところです。
参考資料
中沢 新
