75歳以上の人などが加入する後期高齢者医療制度では、所得などに応じて保険料を負担します。一定の条件を満たすと「特別徴収」の対象となり、保険料は年金から天引きされます。
特別徴収では、4月・6月・8月と、10月・12月・翌年2月で保険料の決まり方が異なります。10月15日の年金支給からは「本徴収」に切り替わり、8月までと天引き額が変わった人もいるでしょう。
本徴収は10月・12月・翌年2月の3回に分けて同じ額が差し引かれるため、12月15日の天引き額も、原則として10月と同じです。
では、本徴収になると1回あたりいくらの保険料が差し引かれるのでしょうか。今回は、2026年度の後期高齢者医療保険料を確認したうえで、全国平均の保険料額をもとに仮徴収・本徴収の金額をシミュレーションします。
1. 2026年度の後期高齢者医療保険料
厚生労働省によると、後期高齢者医療制度における2026・2027年度の平均保険料額は以下のとおりです。
- 医療分:7989円
- 子ども分:194円
- 合計:8183円
医療費分については、2024・2025年度は月額7411円だったため、578円(7.8%)増えています。
注目すべきは「子ども分」の負担の追加です。2026年度から「子ども・子育て支援金」が始まり、後期高齢者医療制度の被保険者も新たに「子ども分」を負担します。医療分も7.8%負担額が増えているため、今年度の保険料額はこれまで以上に負担に感じやすい可能性もあるでしょう。
実際の保険料は、住んでいる都道府県の保険料率や本人の所得などによって異なります。人によっては上記の金額よりも保険料が高くなるケースも考えられます。
次章では、本徴収の保険料について解説します。
2. 10月からは「本徴収」保険料はどう変わる?
年金は原則として偶数月15日に前月までの2カ月分が支給されます。10月15日には8月分・9月分の年金が支給され、そこから10月期の保険料が特別徴収されます。
後期高齢者医療保険料が特別徴収される場合、年6回の年金支給時に保険料が天引きされます。しかし、6回すべてが同じ仕組みで計算されるわけではありません。
特別徴収は、仮徴収と本徴収の2つに分かれます。そして、それぞれ保険料の算定の仕方が変わります。仮徴収・本徴収の時期は以下のとおりです。
- 4月・6月・8月:仮徴収
- 10月・12月・翌年2月:本徴収
前年度から保険料の天引きが継続している人では、4・6・8月で仮徴収が終了し、10月からは本徴収に切り替わります。
仮徴収では、原則として前年度2月に天引きされた保険料と同じ金額を納めます。一方、本徴収では、その年度に確定した年間の保険料から、4月・6月・8月に仮徴収した金額を差し引き、残額を10月・12月・翌年2月の3回に分けて納付する仕組みです。本徴収1回あたりの保険料額は、以下のようになります。
- (年間保険料-仮徴収した保険料の合計)÷3回
10月から本徴収に変わった結果、年金から差し引かれる金額が8月とは変わる場合があるのです。
次章では、仮徴収・本徴収での保険料の変化をシミュレーションしてみましょう。
3. 【シミュレーション】仮徴収・本徴収での保険料の変化
では、10月から1回あたりの保険料がどの程度変わる可能性があるのか見てみましょう。今回は、厚生労働省が公表した全国平均をもとに「年間保険料9万8208円」と仮定して試算します。
3.1 ケース1:仮徴収が1回1万4000円の場合
仮徴収の金額が1万4000円の場合、4月・6月・8月に支払った保険料は「1万4000円×3回」で、4万2000円です。これを年間保険料9万8208円から差し引くと、本徴収額の合計は以下の金額になります。
- 9万8208円-4万2000円=5万6208円
10月・12月・翌年2月で合計5万6208円、1回あたり1万8736円が徴収されます。
つまり、1回あたりの保険料は仮徴収の1万4000円から、本徴収では1万8736円に増加し、1回あたり4736円の負担増となるのです。
3.2 ケース2:仮徴収が1回1万8000円の場合
仮徴収が1万8000円の場合、4月・6月・8月に支払った保険料は「1万8000円×3回」で、5万4000円です。これを年間保険料9万8208円から差し引くと、本徴収額の合計は以下の金額になります。
- 9万8208円-5万4000円=4万4208円
10月・12月・翌年2月で合計4万4208円、1回あたり1万4736円が徴収されます。
この場合、1回あたりの保険料は仮徴収の1万8000円から、本徴収では1万4736円に減少します。1回あたり3264円の負担減となるのです。
年間保険料が同じでも、年度前半にいくら仮徴収されたかによって、10月以降の負担額は変わります。自治体によっては仮徴収と本徴収の差を小さくするため、途中の徴収額を調整する「平準化」を実施する場合もあるようです。
次章では、保険料の変化の確かめ方を解説します。