4. 保護開始月に認定される手持金は最低生活費の5割を超える額に限られる

保護開始の理由で「貯金等の減少・喪失」が最も多いと聞くと、貯金を使い切らないと申請できないように感じるかもしれません。

しかし生活保護実施要領には、保護が始まる月の支給額を決めるときの手持金の扱いが、はっきりと書かれています。

4.1 実施要領は「最低生活費の5割を超える額」と定めている

厚生労働省の生活保護実施要領等(2026年4月1日施行)には、次のように示されています。

「保護開始時の程度の決定に当たって認定すべき手持金は、当該世帯の最低生活費(医療扶助及び介護扶助を除く。)の5割を超える額とする」

つまり保護が始まる月には、最低生活費の5割にあたる額までは手持金として手元に残り、それを超えた分が収入として認定されるという整理です。

4.2 この5割は要否判定の基準ではない

ここは読み違えやすいところです。実施要領は同じ箇所で、この取扱いについて「要否判定の結果保護要とされた世帯についての開始月における程度の決定上の配慮であり、要否判定、資産・収入の調査についての取扱いを変える趣旨のものではない」と補足しています。

保護を受けられるかどうかという判定の基準ではなく、開始月にいくら支給するかを決めるときの配慮である、ということです。

貯金がいくらまでなら申請できるという線引きとして読まないようにしましょう。

5. 理由別の集計には転入した世帯と一時的な扶助だけの世帯が入っていない

保護開始の理由別の数字を引用するときに、もうひとつ気をつけたい点があります。

5.1 報道発表資料の数と第26表の数は一致しない

被保護者調査(令和6年度確定値)の報道発表資料では、保護開始世帯数は1か月平均1万9045世帯と示されています。

一方、理由別を集計した第26表の1か月平均は1万6482世帯です。第26表が転入と一時的性格を有する扶助のみによる保護開始世帯を除いているため、数が食い違います。

どちらかが誤りということではなく、集計の範囲が違うだけです。ふたつの数字を並べて増減を語ると、実態とずれた読み方になってしまいます。

5.2 月次調査の概数には理由別の集計がない

被保護者調査には、毎月公表される月次調査と、年度ごとにまとまる確定値があります。

毎月の概数で公表されるのは被保護実人員数・被保護実世帯数・世帯類型別世帯数・保護の申請件数・保護開始世帯数で、理由別の内訳は含まれていません。理由まで見たいときは、年度の確定値を待つことになります。

6. まとめ|生活保護が始まる理由の半分近くは貯金の減少だった

令和6年度に生活保護が始まった19万7785世帯のうち、9万6537世帯は「貯金等の減少・喪失」がきっかけでした。高齢者世帯にかぎると、その割合は54.6%にのぼります。

生活扶助の基準額は第1類と第2類を積み上げて算定され、1級地-1の75歳以上の単身世帯では月7万1900円でした。

数字はあくまで全国の集計です。ご自身やご家族の家計に当てはめて考えるときは、住まいの地域の福祉事務所で、世帯の状況にもとづいた説明を受けてみてはいかがでしょうか。

相談した内容は書面で受け取り、ご家族とも共有しておくと、あとから確認しやすくなります。

参考資料