2. 条例で決まる料率を当てると、いくらになるのか

厚生労働省の説明は、世帯単位で応益分と応能分を計算するという枠組みまでです。実際の料率は自治体の条例にあるので、代表的な自治体の数字を当てて確かめます。

自治体ごとの料率と試算は、LIMOの記事「国民健康保険料はいくらかかる?年収200万円の単身世帯を例に、東京23区と大阪市の計算式で編集部が実際の金額まで丁寧かつ詳細に計算して解説」から要点を借りて確認します。

2.1 保険料は4つの区分の合計で決まる

まず区分の数からです。

同記事によると、国民健康保険料は、医療分、後期高齢者支援金分、40歳から64歳のみが負担する介護分に加えて、令和8年度から新設された子ども・子育て支援金分を合わせた、4つの区分の合計で決まります。

それぞれの区分ごとに、所得割・均等割・平等割という要素を組み合わせて金額が算出されると同記事は整理しています。平等割は自治体により有無が異なります。厚生労働省がいう応能分が所得割、応益分が均等割と平等割に当たります。

同じ4区分でも、料率も要素の数も自治体で変わる2/2

令和8年度の国民健康保険料について、豊島区と大阪市の医療分・後期高齢者支援金分・介護分・子ども子育て支援金分の所得割率と均等割額・平等割額、賦課限度額の合計を並べた表

出所:豊島区「保険料の計算方法」大阪市「令和8年度大阪市国民健康保険料のお知らせ」をもとにLIMO編集部作成

2.2 東京23区は所得割と均等割の2方式

具体的な料率を見ます。

東京都豊島区の公式情報によると、令和8年度の保険料率は次の通りです。医療分は所得割率7.51パーセント・均等割額4万7600円・賦課限度額67万円です。後期高齢者支援金分は所得割率2.80パーセント・均等割額1万7600円・賦課限度額26万円、介護分(40〜64歳)は所得割率2.43パーセント・均等割額1万7800円・賦課限度額17万円です。

出所:LIMO「国民健康保険料はいくらかかる?年収200万円の単身世帯を例に、東京23区と大阪市の計算式で編集部が実際の金額まで丁寧かつ詳細に計算して解説」

令和8年度に新設された子ども・子育て支援金分は、所得割率0.27パーセント・均等割額1873円・賦課限度額3万円だと同記事は述べています。均等割額は18歳以上が対象です。

東京23区には平等割がなく、所得割と均等割の2方式で計算されます。23区は原則統一料率です。

2.3 大阪市には平等割があり3方式になる

方式そのものが違う自治体もあります。

同記事によると、大阪市の令和8年度は医療分が所得割率9.50パーセント・均等割3万4990円・平等割3万3908円・賦課限度額66万円です。後期高齢者支援金分が所得割率3.06パーセント・均等割1万1191円・平等割1万845円・賦課限度額26万円、介護分が所得割率2.60パーセント・均等割1万8682円・賦課限度額17万円になります。

子ども・子育て支援金分は所得割率0.28パーセント・賦課限度額3万円で、均等割は被保険者数に1745円を掛けた額に、18歳以上の被保険者数に96円を掛けた額を足す形です。18歳以上の1人なら1841円になります。

大阪市は世帯ごとに定額でかかる平等割があり、所得割・均等割・平等割の3方式です。同記事は、平等割の有無だけでも世帯人数によって負担感が変わってくると指摘しています。

なお大阪市は、令和8年3月31日時点で18歳未満の被保険者について、子ども・子育て支援金分の均等割を10割軽減するとしています。国の未就学児5割軽減とは別枠の措置です。

2.4 所得割の計算基礎は全国共通

違うところと同じところがあります。

同記事によると、所得割の計算基礎は前年の総所得金額から基礎控除43万円を引いた金額が共通のルールになっています。この基礎控除額は全国共通のため、自治体間で違うのは料率と均等割・平等割の金額だけです。

つまり比べるときに見るべきは、所得割率と、均等割・平等割の額の3つになります。

2.5 年収200万円の単身世帯なら年額約20万7051円

数字を当てはめた試算も示されています。

同記事の試算では、給与収入200万円の場合、給与所得控除を適用すると給与所得は132万円になり、そこから基礎控除43万円を引いた所得割の算定基礎額は89万円です。この金額に大阪市の料率を当てています。

医療分は89万円に9.50パーセントを掛けた8万4550円に均等割3万4990円と平等割3万3908円を足して15万3448円、支援金分は89万円に3.06パーセントを掛けた2万7234円に均等割1万1191円と平等割1万845円を足して4万9270円となります。

出所:LIMO「国民健康保険料はいくらかかる?年収200万円の単身世帯を例に、東京23区と大阪市の計算式で編集部が実際の金額まで丁寧かつ詳細に計算して解説」

子ども・子育て支援金分は算定基礎額に0.28パーセントを掛けた2492円に均等割1841円を足して4333円で、あわせると年額約20万7051円、月額換算で約1万7255円になると同記事は試算しています。40歳未満の単身世帯を想定した数字です。

2.6 賦課限度額という上限がある

青天井ではありません。

同記事によると、東京都豊島区の令和8年度の賦課限度額は、医療分67万円・支援金分26万円・介護分17万円・子ども・子育て支援金分3万円で、合計113万円が上限です。所得がどれだけ高くても、この金額を超えて保険料が課されることはありません。

高所得者ほど保険料が青天井に増えると思われがちですが、実際には一定の所得を超えると保険料の増加は頭打ちになるという整理です。

3. 枠組みと料率を分けて確かめる

ここまで、国民健康保険料の組み立て方と、実際の自治体の料率を見てきました。

枠組みの側は、他の医療保険に入っていない人が対象で、市町村国保と国民健康保険組合の2本立て、平成30年4月から都道府県が財政運営の責任主体、算定方法は各市町村の条例、計算は世帯単位で応益分と応能分の合計、という形です。所得が基準を下回る世帯は応益割が7割・5割・2割軽減され、未就学児の均等割は令和4年4月から5割が公費で軽減されます。

料率の側は、区分が医療分、後期高齢者支援金分、介護分、子ども・子育て支援金分の4つ、所得割の計算基礎は前年の総所得金額から基礎控除43万円を引いた額で全国共通、東京23区は2方式で大阪市は3方式、賦課限度額は東京23区で合計113万円です。

自分の保険料を確かめるときは、住んでいる自治体の料率と、世帯に何人いるか、40歳から64歳の人がいるかを並べることになります。実際の料率と軽減・減免の適用可否は、お住まいの市町村の国民健康保険の窓口、または加入している国民健康保険組合にご確認ください。

参考資料

LIMO編集部社会保障解説班