老齢厚生年金の「報酬比例部分」は、現役時代の報酬と加入期間で決まるという説明はよく見かけますが、その計算式が2本に分かれていることは、あまり知られていません。

境目は平成15年3月です。それ以前とそれ以降で、使う報酬の中身も、掛ける率も違います。

この記事では、日本年金機構が示している報酬比例部分の計算式を確認しながら、なぜ2本立てになっているのかを整理します。

1. 【厚生年金】報酬比例部分の計算式は2本を足し合わせる

日本年金機構によると、報酬比例部分は次のAとBを足して求めます。

平成15年3月を境に計算式が2本に分かれる1/1

報酬比例部分の計算に使う乗率

出所:日本年金機構「報酬比例部分」をもとにLIMO編集部作成

1.1 報酬比例部分=A+B

  • A(平成15年3月以前の加入期間):平均標準報酬月額 × 7.125 ÷ 1000 × 平成15年3月までの加入期間の月数
  • B(平成15年4月以降の加入期間):平均標準報酬額 × 5.481 ÷ 1000 × 平成15年4月以降の加入期間の月数

平成15年3月以前にも働いていた人は、AとBの両方を計算して合算します。平成15年4月以降にしか加入していない人は、Bだけで決まります。

1.2 「平均標準報酬月額」と「平均標準報酬額」は別のもの

1文字違いで紛らわしいのですが、AとBでは基礎にする報酬の中身が違います。

Aで使う平均標準報酬月額は、月々の給与だけを基礎にしたものです。賞与は入りません。

Bで使う平均標準報酬額は、月々の給与に標準賞与額を加えた総額を基礎にします。賞与も算定に入るという点が、Aとの決定的な違いです。

これは平成15年4月に総報酬制が導入されたためです。それまで賞与は年金額の計算に反映されていませんでしたが、以降は賞与も含めて計算するように変わりました。

1.3 乗率が7.125から5.481に下がっている理由

掛ける率を見ると、Aの7.125に対してBは5.481と小さくなっています。一見すると不利になったように見えます。

ただしBは賞与を含めた総額を基礎にするため、掛ける相手の金額そのものが大きくなります。率を下げることで、制度変更の前後で給付の水準が大きく変わらないよう調整されているということです。

賞与の割合が高い働き方をしてきた人ほど、平成15年4月以降の期間が年金額に反映されやすくなります。

1.4 従前額保障という別の計算

報酬比例部分には、もうひとつ計算のしかたがあります。従前額保障と呼ばれるもので、平成6年の水準で計算した額を保障する仕組みです。

この場合の乗率は、平成15年3月以前が7.5、平成15年4月以降が5.769になります。本来の計算で求めた額がこの従前額を下回るときは、高いほうが支給されます。

どちらが適用されるかは、加入していた時期と報酬の推移によって変わります。自分で計算して確かめるより、ねんきん定期便の記載を見るほうが確実です。

公的年金の仕組みや平均受給額に関する詳しい解説は、下記の記事より一部を引用・参照しています。

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