JRAは、まだ日本がバブル経済期だった1980年代後半から、それまでの“競馬=中高年男性のギャンブル”という暗いイメージを払拭するために、人気タレント(注:成人。以下同)を起用した広告宣伝、テレビ放送枠の拡大、人気騎手の育成などに注力してきました。
そこに、オグリキャップを始めとする全世代に受け入れられた数多くの人気馬の登場もあり、前述した1997年には空前絶後の売上を記録したのです。
JRAはその後も、勝馬投票券の多様化や、アイドルタレントを起用したテレビ番組の放映など、様々な“企業努力”をしていると考えられます。また、早くからインターネットによる勝馬投票券の販売に取り組んだことも見逃せません。
しかし、今後は少子化の影響がジワリジワリと出てくるでしょう。何らかの新たな対策を講じる必要があるのは明白です。
たとえば、増加の一途を辿る訪日外国人向けの宣伝広報活動を強化するのも一考に値しましょう。諸外国でも競馬が盛んな国もありますが、アジアを中心にまだ拡大余地は大きいと見られます。
特に、公営ギャンブルが事実上禁止となっている中国では、日本の競馬に対する関心は高いと言われています。
また、18歳以上に選挙権が認められたことから、法律上の「成人」が18歳以上になる日が遠くないかもしれません。日本の若年層が熱中しているモバイルゲームとのタイアップも有効な策と考えられます(注:既に一部実施されている可能性があります)。
伝統ある競馬を“文化”として後世に残す
競馬は、古代ローマ時代にその起源を遡ることができる歴史ある競技です。日本でも約150年前から行われている”文化”とも言えます(注:開始時期には諸説あり)。伝統ある競馬を良い意味で後世に残すよう、競馬の日に改めて考えるのもいいかもしれません。
葛西 裕一