空前の人材不足のなか、人材関連ビジネスが盛況です。中でも特に増えているのが人材紹介業での起業。人材を求める企業と職を求める求職者から申し込みを受け、両者間で雇用関係が成立するように斡旋するビジネスです。有料職業紹介事業を始める際に取得する必要がある許可について解説します。

有料職業紹介事業の許可要件

有料職業紹介事業を始めるには、労働局の許可を得る必要があります。許可の基本的な要件を見ていきましょう。

財産の要件

人材派遣を始め、人材系ビジネスは人材の雇用や情報を守るという意図から、財産がしっかりある会社でないとできません。人材紹介業では、一事業所当たり基準資産額500万円以上で、現金預金が150万円以上を用意することになっています。これから会社設立するとしたら、資本金が500万円以上ないとダメということです。

事務所の要件

個人情報を扱うビジネスですから、事務所にも決められた要件があります。人材紹介業では執務室と明確に区分けされた会議室やミーティングブースなど、相談者のプライバシーを確保できるスペースが必要です。本店所在地を決める際には、これを満たした事務所を用意する必要があります。

事業主の要件

人材を斡旋するという重要な仕事上、事業主の適切さが求められます。要件として、欠格要件(禁固刑又は一定の労働法違反で罰金刑以上に処せられて5年を経過しない)に該当しないことや、住所が特定していることなどがあります。

職業紹介責任者の要件

人材紹介業を行うには職業紹介責任者がいないといけません。職業紹介責任者とは人材紹介業を行うにあたり、事業所内で職業安定法や個人情報保護法などを遵守するよう監理・監督する人のことです。職業紹介事業に従事する者50人につき 1人以上選任する必要があります。

職業紹介責任者になるには、以下の条件を満たす必要があります。

  • 3年以上の職業経験があること(人事管理等の部署である必要なし)
  • 職業紹介責任者講習を受講(全国民営職業紹介事業協会の講習を受講)すること
  • 欠格要件に該当しない事(欠格要件は事業主と同じ)

許可申請にあたって

許可の申請書類については、提出書類の種類や書き方などについて労働局の厳しいチェックがあります。許可申請については、毎月の締切り日があるため、提出前に一度、労働局を直接訪問し、担当者に相談しておくことをオススメします。

また許可を得て営業を開始するまでに相当な時間がかかります。営業できない間、売上が入らないため、資金繰りに影響を及ぼします。ポイントは滞りなく許可を得ることです。もし、不安であれば、申請実績豊富な専門家(社会保険労務士)に相談されることをおすすめいたします。

中野 裕哲