2. 給付付き税額控除が注目される3つの理由とは?

政府は、即効性が見込める「一律の現金給付」ではなく、制度設計に時間を要する「給付付き税額控除」を政策の軸に据えました。

これは、対応の速さだけでなく、制度そのものを見直すことを重視しているためです。

日本の税制を根本から改善しようとする意図がうかがえます。

ここでは、この制度が担う3つの重要な役割について整理します。

2.1 理由1:単発ではない「継続的な支援」を目指す仕組み

コロナ禍以降、非課税世帯や児童手当の受給者などを対象に、さまざまな臨時給付が実施されてきました。

これらの現金給付は、スピーディーに実行でき、効果を実感しやすいというメリットがあります。

しかし、その多くは一時的な対応にとどまりがちで、継続的な支援にはつながりにくいという側面がありました。

また、支援の必要性が高くない層にも一律で給付されるため、財源の効率的な活用や制度の持続可能性という点でも課題が指摘されていました。

2.2 理由2:従来の減税の対象外だった「低所得層」もカバー

これまでの所得税減税には、「税金を納めている人でなければ恩恵を受けられない」という根本的な課題がありました。

減税はあくまで納税額を減らす仕組みです。

そのため、所得税を納めていない非課税世帯には効果がおよばず、本来支援を必要とする層が対象から外れてしまうケースがあったのです。

一方で「給付付き税額控除」は、控除しきれない分を現金で補うという特徴があります。

これにより、所得税が0円の世帯でも設定された支援額を受け取ることができ、従来の減税では対応できなかった層にも支援が届きます。

結果として、低所得層から一定の所得がある層まで、幅広く支援できる制度となっています。

2.3 理由3:消費税の「逆進性」という課題への対策

消費税には、所得が低い人ほど収入に占める税負担の割合が大きくなる「逆進性」という性質があります。

【負担感のイメージ】

  • 年収1000万円の人:100万円の消費で税金10万円(収入の1%)
  • 年収300万円の人:100万円の消費で税金10万円(収入の約3.3%)

給付付き税額控除は、低所得者に対して実質的に消費税の一部を後から補う役割を担います。

これによって消費税による負担の偏りを是正し、「税の再分配機能」をより適切に機能させることが狙いの一つとされています。