子どもが生まれて家族が増えるのはうれしいことです。その一方で赤ちゃんとはいえ、新たに1人が加わった生活はカップル2人きりの時とはいろいろな面で違ってくるもの。特に産後や育児に伴う休暇や、支給される補助金は気になるところです。
ニュージーランドのカップルもそれは同じ。ほかの先進国と比べて有給育児休暇制度が整っているとは言えないので、なおさらです。しかし実際、制度上与えられた枠組みの中で、工夫を凝らし、シンプルな生活を送ってみるとそう悪くないもの。新しい家族としての価値観が生まれるきっかけにもなり得ます。
子どもを主に面倒見る親の休みは22週間
ニュージーランドで子どもが生まれた時に与えられる休暇には、「プライマリー・ケアラー・リーブ(主たる保育者のための休暇)」と、「パートナーズ・リーブ(パートナーのための休暇)」があります。
これは「マタニティー・リーブ(出産休暇)」でも、「パタニティー・リーブ(父親の育児休暇)」でもないのです。つまり、子どもの面倒を主に見るのは、必ずしも出産した母親とは限らないというわけです。「パートナー」という言葉を使うのも同様の理由から。性別による役割分担があまり明確ではない、この国の社会の特徴が見てとれます。
とはいえ、やはり当地でも子育てに専心するのは母親というケースが大半です。生まれる前からずっと一緒だった母親の方が先に赤ちゃんとの絆が生まれるものですし、出産で疲れた体のまま仕事をするのは難しいからです。
勤務条件によりますが、「プライマリー・ケアラー・リーブ」は基本的に22週間あります。昨年の7月に18週間から22週間になりました。さらに来年の7月からは26週間になる予定です。雇用主との交渉次第で、52週間まで延ばすことも可能です。
一方、「パートナーズ・リーブ」は1~2週間というのが通例です。しかし、プライマリー・ケアラーに与えられた、52週間までの延長期間分を、パートナーと分け合って取得することも許されています。こんなところにも、育児は片親だけで臨むのではなく、カップルでという社会の風潮が垣間見られます。
ジャシンダ・アーダーン首相は昨年、在任中に出産したことで話題になりました。彼女の場合は首相という要職ということもあり、6週間だけ休暇を取り、復職しています。プライマリー・ケアラーは、フィアンセのクラーク・ゲイフォードさんです。ラジオ・テレビの司会者ですが、現在も休職中で、娘の二―ヴちゃんを育てています。