東芝メモリの主力生産拠点である四日市工場が一部停電被害を受けていることがわかった。6月20日時点でいまだ操業再開に至っておらず、今後の事業運営に影響を及ぼすことになりそうだ。

四日市市の一部地域で約13分間停電が発生

 中部電力によれば、四日市市の一部地域において6月15日18時25分から約13分間停電が発生。これにより、四日市工場の一部ラインが停電被害を受け、操業が停止する事態となった。20日時点で停止した生産ラインは操業が再開できておらず、操業再開のめども現状で立っていない状況だ。

 四日市工場はNANDフラッシュメモリーを生産する同社の主力工場で、現在は300mmウエハー対応ラインを用いて、3D-NANDフラッシュの生産に注力している。300mm対応の生産棟は計5棟あり、最新鋭の第6製造棟(Y6)は2018年9月に竣工している。また、岩手県北上市にも新工場(K1)を建設しており、19年秋の竣工予定、20年からの生産開始を予定している。

 なお、年内のIPO(新規株式公開)申請に向けて、財務施策による資金確保、経営の安定化にも着手しており、その一環として5月31日に三井住友銀行、三菱UFJ銀行、みずほ銀行と9000億円の借入および1000億円の追加融資枠に合意。また、第三者割当増資により日本政策投資銀行に対して総額3000億円の非転換社債型優先株式の発行についても決議。6月18日にこれを実行し、18年6月に顧客企業である米アップルなどに発行したすべての優先株の償還を完了させていた。

 停電発生から20日で5日間が経過したが、いまだに復旧のめどは立っておらず、IPO申請をを控える中で四日市工場の停電被害が今後の事業運営に水を差すかたちとなりそうだ。

電子デバイス産業新聞 副編集長 稲葉 雅巳