今月4月15日は、2ヶ月に一度の年金支給日です。
年金生活を送る人の中には、「物価高で生活が苦しい」と感じている人も多いのではないでしょうか。
「年金生活者支援給付金」は、公的年金を受け取る人が一定の所得要件を満たした場合、年金に上乗せする形で受け取れる給付金です。
今回は、「年金生活者支援給付金」の制度概要や対象要件のほか、年齢別の平均給付金額や申請方法についてもやさしく解説します。
1. 「年金生活者支援給付金」は誰がもらえる?
「年金生活者支援給付金」とは、所得が一定以下の年金受給者の生活を支援するための制度です。
当制度では、偶数月の年金支給日に年金に上乗せされる形で給付金が振り込まれます。
年金生活者支援給付金は、受給している年金の種類によって以下の3つに分かれています。
- 老齢年金生活者支援給付金
- 障害年金生活者支援給付金
- 遺族年金生活者支援給付金
ここでは、それぞれの対象要件をチェックしましょう。
1.1 「老齢年金生活者支援給付金」の対象となる人の要件
老齢年金生活者支援給付金の対象となる人の要件は、以下のとおりです。
- 65歳以上で老齢基礎年金を受給していること
- 同一世帯の全員が市民税非課税であること
- 前年の年金収入額とその他の所得の合計が一定金額以下であること
所得に関する要件は、年齢によって異なります。
- 昭和31年4月2日以後に生まれた人:80万9000円以下
- 昭和31年4月1日以前に生まれた人:80万6700円以下
上記の計算には、障害年金や遺族年金などの非課税収入は含まれません。
また、所得の要件をわずかに超える人については、公平性の観点から「補足的老齢年金生活者支援給付金」が支給されます。
補足的老齢年金生活者支援給付金の支給対象となる人の具体的な要件は、以下のとおりです。
- 昭和31年4月2日以降生まれの人:80万9000円を超え90万9000円以下
- 昭和31年4月1日以前生まれの人:80万6700円を超え90万6700円以下
1.2 「障害年金生活者支援給付金」の対象要件
障害年金生活者支援給付金の対象となる人の要件は、以下のとおりです。
- 障害基礎年金を受給していること
- 前年の所得が479万4000円以下であること(扶養親族の人数に応じて増額)
障害年金生活者支援給付金についても、所得要件の計算に障害年金などの非課税収入は含まれません。
1.3 「遺族年金生活者支援給付金」の対象要件
遺族年金生活者支援給付金の対象となる人の要件は、以下のとおりです。
- 遺族基礎年金を受給していること
- 前年の所得が479万4000円以下であること(扶養親族の人数に応じて増額)
遺族年金生活者支援給付金についても、所得要件の計算に障害年金などの非課税収入は含まれません。
2. 「年金生活者支援給付金」はいくらもらえる?年齢別の平均給付月額をチェック
年金生活者支援給付金は、2026年度から3.2%の引き上げが決定されています。
- 老齢年金生活者支援給付金:5620円(前年比+170円)※基準額
- 障害年金生活者支援給付金(1級):7025円(前年比+212円)
- 障害年金生活者支援給付金(2級):5620円(前年比+170円)
- 遺族年金生活者支援給付金:5620円(前年比+170円)
ただし、上記の金額はあくまでも基準額であり、実際の給付金額は保険料納付済期間などの条件によって異なるため注意が必要です。
また、実際の給付金は2ヶ月分がまとめて振り込まれます。
ここからは、2025年3月時点における平均給付月額を年齢別に確認します。
2.1 【老齢年金生活者支援給付金】年齢別の平均給付月額
- 70歳未満:4905円
- 70〜74歳:4374円
- 75〜79歳:4092円
- 80〜84歳:3936円
- 85〜89歳:3989円
- 90歳以上:4045円
※2025年3月(2024年度)の基準額は5310円
2.2 【障害年金生活者支援給付金】年齢別の平均給付月額
- 30歳未満:5692円
- 30~39歳:5668円
- 40~49歳:5655円
- 50~59歳:5671円
- 60~69歳:5749円
- 70~79歳:5880円
- 80歳以上:6033円
※2025年3月(2024年度)の基準額は1級で6638円、2級で5310円
2.3 【遺族年金生活者支援給付金】年齢別の平均給付月額
- 20歳未満:4190円
- 20~29歳:5310円
- 30~39歳:5310円
- 40~49歳:5310円
- 50~59歳:5310円
- 60歳以上:5310円
※2025年3月(2024年度)の基準額は5310円
3. 「年金生活者支援給付金」の受給には手続きが必要!申請方法をケース別に解説
年金生活者支援給付金の受給には手続きが必要であり、要件を満たした場合に自動的に給付がスタートするものではありません。
本来受けられるはずの支援を逃してしまうことがないよう、具体的な申請方法を押さえておきましょう。
本章では、老齢年金生活者支援給付金について、ケース別の手続きフローを紹介します。
3.1 すでに年金を受給している人(うす緑色の封筒)
すでに年金を受給している人が年金生活者支援給付金の支給対象となった場合、令和8年(2026年)9月上旬より順次「うす緑色の封筒」が届きます。
はがき型の請求書に必要事項を記入し、同封の目隠しシールを貼って返送しましょう。
なお、現在はマイナポータルを利用した電子申請にて手続きすることも可能です。
3.2 これから年金を受給する人(緑色の封筒)
これから65歳を迎えて年金を受給する人が年金生活者支援給付金の支給対象となった場合、65歳の誕生日を迎える3ヶ月前に「緑色の封筒」が届きます。
封筒には年金請求書と給付金の請求書が同封されているため、必要事項を記入し、あわせて年金事務所に提出してください。
年金事務所への提出は、65歳の誕生日の前日から受付開始となります。
4. 年金のみで暮らす高齢者は全体の「43.4%」
ここからは、年金を受け取る高齢者の生活の実態について紹介します。
厚生労働省の「2024(令和6)年 国民生活基礎調査の概況」によると、公的年金・恩給を受給している高齢者世帯において、年金のみで暮らしている世帯の割合は43.4%です。
【高齢者世帯における公的年金・恩給の総所得に占める割合】
- 100%の世帯:43.4%
- 80~100%未満の世帯:16.4%
- 60~80%未満の世帯:15.2%
- 40~60%未満の世帯:12.9%
- 20~40%未満の世帯:8.2%
- 20%未満の世帯:4.0%
残りの56.6%の世帯では、年金以外にも何らかの収入を得て生活していることがわかります。
5. おわりに
年金生活者支援給付金の受け取りには、初回のみ申請が必要です。
対象者には申請用紙や申請はがきが届くため、案内を見落とさないように確認し、早めに手続きを済ませましょう。
また、高齢者世帯の半数以上は、年金以外にも収入を得て生活しているのが実態です。
必要な支援を受けて安定した暮らしにつなげるのはもちろん、退職後にも働いて収入を得たり、早くから老後資金に備えて貯蓄・運用を行ったりする選択肢を持つことも重要です。
参考資料
- 厚生労働省「年金生活者支援給付金制度について」
- 日本年金機構「老齢(補足的老齢)年金生活者支援給付金の概要」
- 厚生労働省「令和8年度の年金額改定についてお知らせします」
- 厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 日本年金機構「令和7年4月分からの年金額等について」
- 日本年金機構「令和7年度の年金生活者支援給付金請求書(はがき型)の送付について」
- 日本年金機構「65歳の誕生日を迎える方で、老齢基礎年金を新規に請求する方」
- 厚生労働省「2024(令和6)年 国民生活基礎調査の概況」
池田 夕華