たとえば服やカバンなど、ふだん多くの人が日常的に使っているものでも、特定のパーツを指して正式名称を尋ねてみると、意外と知られていなかったり、「あー、何か聞いたことはあるんだけどなぁ……」となったりすることも多いのではないでしょうか。
この記事では、知っているようで知らない、よく使うモノの「あの部分」の名前は何かをクイズ形式で出題します。今回は「傘(洋傘)」を取り上げます。図に示した2つの部分の名前、あなたはご存じでしょうか?
「傘の先っぽの部分」の名前は?
梅雨時に限らず、一年を通して使われている傘ですが、その割には、それぞれのパーツの正式な名前は知らない人も多いようです。
まずは図の(1)、傘の先端の部分です。「傘の先っぽの部分」と言えば、ほとんどの人には通じると思いますが、傘職人や傘製造業・流通業などの関係者は何と呼んでいるでしょうか?
正解は、「石突〈いしづき〉/石突き」と呼びます。
より細かくいえば、「石突」は傘の先のほうにある棒状の部分全体を指すではなく、そのまさに先っぽについている部分だけを指すようですが、ビニール傘など簡易なものは、棒状の部分と一体化している場合も多いですよね。小さなお子さん、特に活発な子どものいる家庭だと、傘の石突の部分は、アスファルトとか電信柱とかそのへんの石とかをガツガツ突きまくってボロボロということも多いかもしれません。
また、「石突」という名前は傘に限りません。たとえば槍〈やり〉や長刀〈なぎなた〉、矛〈ほこ〉などの刃とは逆側の端っこ、杖の先っぽや釣り竿の竿尻など、「棒状の道具で、立てるときに地面に接する部分」は、広く「石突」と呼ばれます。また、そこから派生したと考えられていますが、シイタケなどキノコ類の木や地面と接する部分も、同様に「石突」という名前で呼ばれています。
「あの、ヒモみたいな、留めるやつ」の名前は?
続いて図の(2)です。傘をたたんだ後にまとめるときに使うヒモ状の部分で、ホックやマジックテープがついていることも多いアレですね。その名前を言いたいときに「ほら、あの……ヒモみたいな、留めるやつ」と言えば、これもたいてい通じるとは思います。
その「ヒモみたいな留めるやつ」ですが、正しくは「ネーム」や「ネーム布」「ネーム紐」「ネームバンド」と呼ばれます。単に「バンド」と呼んでいる人も多いかもしれません。
「ネーム」と名前がついているのは、その名の通り、「名前を書く」部分だからといわれています。子ども用の傘などでは、名前書き用にタグがついていることも多いですが、ネームの部分にまさに名前書き用に白っぽい布をつけているものもあります。
傘の生地(傘地)については、布製の場合、オモテ面は水をはじく撥水〈はっすい〉加工などがされていることが多いので、ペンなどでも字が書きにくいのですが、ネームの部分はそうした加工をしていないことが多いため、傘地と比べると実際に名前が書きやすい場合が多いでしょう。ちなみに、傘地のオモテ面は撥水加工が一般的ですが、ウラ面は水が布地にしみていかない防水加工がされていることが一般的なようです。
傘地をまとめるネーム以外に、骨の先端にある露先〈つゆさき〉をまとめるネームがついている場合もあります。これは「口〈くち〉ネーム」と呼ばれ、この口ネームと区別する場合に、傘地をまとめるネームは「胴ネーム」とも呼ばれています。
あなたはわかりましたか?
というわけで、2カ所の「正解」を含めて、あらためて傘の主な部分の名前を図に示しておきます。
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