夫婦共働きの友人夫婦は、2歳の子どもを保育園に預けて妻は時短勤務、夫は会社員です。基本的に家事は9割以上を妻が行い、夫は土日の気が向いた時にたまに行うだけだったそう。

そんな中、子どものイヤイヤ期突入とともに家事が辛くなってきた妻の負担を考え、1週間のうち平日に2回ほど家事代行サービスに外注する期間を作ったのだとか。妻はこれまで家事を行うために削っていた平日の睡眠時間が確保でき、さらに家の中もキレイになるので大感激。その分、土日には以前夫がやっていた水回りの掃除をこなしていました。

すると、今度はスライド式でこれまで多少は土日にフォローしてくれていた夫が家事を一切やらなくなる事態に。それどころか、洋服の脱ぎっぱなしが増え、自分が食べた食器の後片付けさえしなくなっていったのだとか。「平日の家事代行サービスと土日の妻によって家庭内でやるべき家事はすべてOK」という意識が、余計に夫をルーズにさせていったのかもしれません。

外注で夫婦としての負担が減っても、夫婦間の分担比率は変わらないどころか、余計に当事者意識がなくなった夫にイライラ。結局、妻が求めていたのは自分がやるべき家事が片付いている状態ではなく、夫にも当事者意識を持ってもらうことだったと外注して初めて気付いたそうです。それ以来、友人夫婦はお互いの家事に対するスタンスや分担について改めて話し合い、家事代行サービスを利用することをやめたと言います。

この友人夫婦のように、本当に解決したいことは家事そのものよりも、夫の家事参加という妻は少なくないのではないでしょうか。

外注することで家事のありかたを考えるきっかけにも

このように、筆者宅の場合は掃除や洗濯は外注しても、料理だけは自分たちで作ることで食事の楽しさを感じて家庭内の幸せ度は上がり、友人夫婦の場合は夫に家事の当事者意識が芽生え、妻の夫に対する家事ストレスが減っています。お金を払って家事を外注するより、時間や労力をかけてでも自分たちでやるほうが結果的には良いケースもあるのです。

家庭における家事の状況は本当に千差万別。お金をかけずに自分でストレスなく行えたり、もしくはお金ですべて解決できたりすればいいですが、意外にもそう単純にいかないケースは少なくありません。

そして試しに何度か外注してみることで、自分で行ったほうが家庭が円満になる家事と外注したい家事の見極めができるようになることも。さらには、今まで気づかなかった各家庭における家事のありかたや、夫婦お互いの考えが見えてくることもあるでしょう。

秋山 悠紀