3. 【トヨタ自動車/社長交代】モビリティカンパニーとしての変革は次のフェーズへ

2月6日夕方には役員人事を受け、緊急の記者会見が開催されました。

退任する佐藤社長は「体制変更の目的はトヨタが課題に全力で向き合っていくフォーメーションチェンジが必要と判断した。社内では稼ぐ力を高め、社外では産業超えた連携を強化していく。トヨタとして産業の中でしっかりと役割を果たし、日本の勝ち筋を見つけていく」とコメントしました。

社長を退任し、副会長に就任する佐藤恒治氏3/4

筆者撮影

社長退任について「葛藤はあった」としつつ、「日本自動車工業会などの役割が大きくなるなかで、人事案策定会議からオーバーフローなのではないかという指摘があり、決断に至った」と語りました。豊田会長とも社長退任について話をしたそうですが、意思決定には関わっていないことも明かしました。

豊田前社長が約14年に渡って社長を務めたことを考えると、3年という期間は短く思えます。ただ佐藤社長は「まだ3年だけど、もう3年。現在の自動車産業のスピード感かつての時間軸ではない」と述べ、「短いスパンであっても、ポジティブな社長交代」であることを強調しました。

佐藤社長は今回で取締役も退任します。その理由について「これはコーポレートガバナンスのあり方を維持するため、そして業界改革に本気で取り組むためだ。業界団体でトヨタのバッジは必ずしもプラスにならない。オープンなスタンスで日本をよくするためにこれまで以上に動いていきたい」と決意を口にしました。

近新社長は1月中旬に人事案策定会議から初めて今回の人事構想を聞き、突然のことに「頭が真っ白になった」と本音を漏らしました。

社長に就任する近健太氏4/4

筆者撮影

ただ、現在取締役・CFOを務めるウーブン・バイ・トヨタでは経営手腕を発揮しており、「トヨタより若いメンバーがアジャイル的思考や情報共有が徹底されている。トヨタと近いが一緒ではない会社からトヨタを見られたことは大きい」と自信ものぞかせました。

3年前、佐藤社長は豊田会長から「現場でクルマを作り続けるエンジニアであってほしい」という期待を込めて後継者に指名され、モビリティカンパニーに変革するための設計図を描き、将来のトヨタが目指す方向性を明確にしました。

今回の社長交代は「未来を描くフェーズ」から「ビジョンを形にするフェーズ」にシフトすることを意味します。財務と実務のプロである近新社長は、佐藤社長の描いた青写真をどのように形にしていくのか。その手腕に注目が集まります。

参考資料

LIMO自動車部