では、老後の生活費はいくら用意しておく必要があるのでしょうか。生命保険文化センターの『平成28年度「生活保障に関する調査」』(平成28年12月発行)のデータをみていきましょう。

支出面

この調査で、「老後の最低日常生活費」は「20~25万円未満」と答えている人が最も多く、全体の31.5%という結果でした。一方、平均額は22万円。これは平成16年の24.2万円をピークに減少傾向となっています。

さらに、同じ調査内で明らかになった「経済的にゆとりのある老後生活を送るための費用」もチェックしておきましょう。これは、先ほどの「老後の最低日常生活費」に加えて必要とする金額です。

調査の結果、最も多かった答えは「10~15万円未満」で全体の34.9%となりました。全体の平均額は12.8万円と、平成3年の15.5万円をピークに減少傾向です。

収入面

次に、老後の年金収入を考えていきましょう。「平成28年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、厚生年金保険(第1号)受給権者の月額平均は平均額が約14万円。年齢や就業状況によって差はあるものの、夫婦共働き世帯でだいたい14万円の倍近い年金収入があるといえます。

しかし、この「夫婦共働き世帯の厚生年金の月額合計金額」と「ゆとりある老後生活に必要な費用」には10万円ほどの差があります。60歳定年、90歳まで生存したとすると、「10万円×12か月×30年間=3600万円」が不足することになります。あくまでも一例ですが、先ほどの前提では3600万円の備えが必要といえるでしょう。

まとめ

安心して老後を迎えるためにも、十分な貯蓄を用意しておきたいもの。そのためには、具体的な目標金額と日々の取り組みが大切です。「ゆとりある生活を望んでいるのか」「どのくらいの年金収入が見込めるのか」など、いまのうちに将来の生活をイメージしておきましょう。


【ご参考】貯蓄とは
総務省の「家計調査報告」[貯蓄・負債編]によると、貯蓄とは、ゆうちょ銀行、郵便貯金・簡易生命保険管理機構(旧郵政公社)、銀行及びその他の金融機関(普通銀行等)への預貯金、生命保険及び積立型損害保険の掛金(加入してからの掛金の払込総額)並びに株式、債券、投資信託、金銭信託などの有価証券(株式及び投資信託については調査時点の時価、債券及び貸付信託・金銭信託については額面)といった金融機関への貯蓄と、社内預金、勤め先の共済組合などの金融機関外への貯蓄の合計をいいます。

 

LIMO編集部