5. 物価上昇率には追いつかない年金額の改定

公的年金制度には、経済動向に合わせて支給額を調整する仕組みがあります。2023年度から2025年度にかけては3年連続の増額改定となり、数字の上では受給額が着実に積み上がってきました。

ただし、額面の増加だけを見て「老後は安心」と考えるのは早計です。ここで注視すべきは、物価の上昇スピードと年金の増額幅の「差」にあります。

たとえば2025年度の改定では、物価が2.7%上昇したのに対し、年金額の伸びは1.9%に留まりました。制度を将来にわたって維持するための調整(マクロ経済スライド)が行われるため、どうしても物価の勢いに年金の伸びが追いつかない「実質的な目減り」が生じてしまうのです。

1000円の受給増があっても、光熱費や食費がそれ以上に高騰していれば、家計の購買力は実質的にマイナスとなります。

2026年を安心できる一年にするために、年金という「守り」の資産だけでなく、インフレの波から資産を守る「攻め」の備えも並行して検討していくことが重要になっています。

参考資料

和田 直子