2024年1月19日、厚生労働省より年金額改定について発表がありました。

2024年度の年金支給額は、物価や賃金の上昇を加味して、2023年度より2.7%引き上げられることになりました。

このように、年金の受給額には毎年見直しされています。また、公的年金の受給額のほかにも、年金に関しては様々な改定があるのです。

今回は、厚生年金に加入しながら給与を得ている方が受け取る「在職老齢年金」に注目。記事の後半では、在職老齢年金による年金額の調整についてシミュレーションをしてみました。

1. そもそも「在職老齢年金」とは?

「在職老齢年金」とは、60歳以降に老齢厚生年金を受け取りながら働く方が、一部(または全部)減額された年金を受け取る制度のこと。

具体的には、70歳未満の方が会社に就職して厚生年金制度に加入した場合や、70歳以上の方が厚生年金の適用事業所で勤務した場合などを指します。

現在のシニア世代の年金事情を見ると、公的年金だけでは老後生活をやりくりできない……という理由で働く方は少なくないでしょう。

しかし、給与や賞与などの報酬が高すぎると年金支給がストップする可能性があるため注意が必要です。

1.1 【2024年度】在職老齢年金の計算式(支給停止額の計算式)

在職老齢年金では、老齢厚生年金の「基本月額」と給与や賞与の額(総報酬月額相当額)に応じて、年金の一部または全額が支給停止となります。

「基本月額」とは加給年金額を除いた老齢厚生(退職共済)年金(報酬比例部分)の月額、「総報酬月額相当額」とは(その月の標準報酬月額)+(その月以前1年間の標準賞与額の合計)÷12 を指します。

基本月額と総報酬月額相当額との合計額が支給停止調整額を超える場合、年金は支給調整(支給停止)となります。

基本的な計算式は以下の通りです。

  • 基本月額-(基本月額+総報酬月額相当額-支給停止調整額)÷2

上記のとおり、支給停止調整額を意識して働かなければ、年金がカットされてしまいます。

では、支給停止調整額はいくらなのでしょうか。次の章からは、2024年度より改定される支給停止調整額もあわせて、シミュレーションしながら確認していきましょう。