2. 生活保護を受給できる条件とは

生活保護は一人ひとりの状況ではなく、世帯全体の状況を基準に認定が行われます。

世帯全員が、利用可能な資産や能力などを、生活を維持するために活用することが前提になっているのです。

受給できる具体的な条件は以下の通りです。

生活保護の受給条件

生活保護の受給条件

LIMO編集部作成

  • 預貯金や生活に利用していない土地・家屋がない
  • 働くことができない
  • 親族などから援助を受けられない
  • 年金や手当金などほかの制度から受けられるサポートがない

生活保護は、生活に困っている人の最後の砦という位置づけのものなので、預貯金がある場合はまずそれを生活費に充てることが求められます。

また、生活に利用していない土地や家屋などを保有している場合は、それらを売却して生活費にすることが原則です。

働ける状態にある場合は、就労し賃金を得ることが優先されます。

病気やけがなどにより働けないと判断された場合は、生活保護の受給対象になりますが、働ける状態になると受給対象から外れることになります。

自身の家族(子どもや兄弟など)から援助を受けられる場合は受給対象から外れ、誰からも援助を受けられない場合のみ受給可能です。

生活保護以外にも利用可能な給付金や公的融資がある場合は、そちらを受けることが優先されます。

こういった条件を満たしていれば生活保護を申請することが可能です。

3. 生活保護の申請手続き

生活保護の申請手続きは、お住いの地域を管轄している福祉事務所で行います。具体的な申請手続きの流れを確認していきましょう。

生活保護の手続きの流れ

生活保護の手続きの流れ

出所:厚生労働省「生活保護制度」

3.1 福祉事務所に相談する

生活保護の申請を希望する場合、お住いの地域を管轄している福祉事務所の生活保護担当に出向いて相談します。

制度についての説明を受けたり、生活福祉資金やその他の社会保障などの活用が可能かどうかなどを検討したりします。

3.2 生活保護の申請をする

生活保護の申請を決めたら、原則として「生活保護申請書」を提出します。生活保護申請書には、氏名や住所、受給する理由のほか、収入や資産状況など必要事項を記入します。

3.3 保護決定のための調査が行われる

生活保護受給者としての条件を満たしているか調査が行われます。

具体的には、家庭訪問による生活状況の把握や、預貯金や不動産などの資産調査、働けるかどうかの調査、扶養義務者の可否などが行われるのが一般的です。

3.4 生活保護費が支給される

調査が終了し生活保護の支給が妥当と判断されると、生活保護費が毎月支給されます。

支給される金額は最低生活費から年金や給与などの収入を差し引いた金額です。生活保護を受給している間は、毎月の収入状況を申告する必要があります。

なお、最低生活費とは食費や水道光熱費などの生活費である「生活扶助」と、住宅に関する費用である「住宅扶助」、母子世帯や障害者などの「加算額」を合計した金額です。

年金収入がある場合は差し引かれ、不足分が支給されるので、仮に生活保護が12万円で年金収入が6万円ある場合、生活保護費は6万円になります。

4. まとめにかえて

年金を受給していても、毎月の生活が苦しい場合は生活保護の申請が可能です。

ただし、苦しいからと言って誰でも申請できるわけではなく、預貯金や利用していない土地や家屋などを資金化し、まずはそれらを生活費に充てることが求められます。

生活保護の受給が決定しても、支給されるのは最低生活費から年金などの収入を差し引いた分であることにも注意しましょう。

詳しい内容は、お住まいの地域を管轄している福祉事務所で相談してください。

参考資料

木内 菜穂子