3. なぜ高年収世帯でも「貯蓄ゼロ世帯」が存在するのか

前章で紹介したように、年収が高いと貯蓄が多いイメージがある一方で、実際には年収1000万円以上でも貯蓄がゼロの世帯も存在しています。

ではなぜ、高年収世帯でも「貯蓄ゼロ世帯」が存在するのでしょうか。

理由はさまざまですが、「所得税の高さ」と「所得制限の対象になること」が要因として挙げられます。

日本の所得税は、収入が多いほど所得税の負担が大きくなる「累進課税制度」となっています。

配偶者の有無や世帯の状況によって控除額が変わるため税金額に変動がありますが、たとえば年収300万円の人と、年収1000万円の人では税金負担が20%以上も違うのです。

年収が高くなればなるほど、税率が33%や40%、45%と増え続けるため、年収が高くなっても実際の手取り額は思ったよりも増えないケースが出てきます。

また、年収が高いと制度によっては所得制限の対象となるため、制度やサービスが受けられないこともあります。

そのため、年収の低い世帯と比較すると、教育や子育てなどで負担が大きくなるのだとうかがえます。

上記のことから、年収は高くても税金負担が大きかったり、他の部分で消費するお金が多かったりすることから収入を貯蓄に回せない世帯が一定数存在するのでしょう。

4. 年収が高い世帯でも経済格差が生じている

本記事では、各世帯年収ごとの平均貯蓄割合について紹介していきました。

世帯年収が1000万円以上の世帯でも、貯蓄額に格差が生じており、約1割の世帯は高収入にもかかわらず貯蓄ゼロとなっています。

所得税が高く、所得制限の対象になりやすいことから、世帯年収が高くても貯蓄が少ない世帯が一定数存在しています。

年収額に関係なく、家計状況を見直し資産をしっかり管理することは、貯蓄をするうえで重要になるため、今回の調査データで「我が家はあまり貯蓄できていない」と感じた方は、今一度家計の見直しをしてみると良いでしょう。

参考資料

和田 直子