2. 繰り上げ返済の種類
住宅ローンの「繰り上げ返済(一部繰り上げ返済)」とは、毎月の返済額以外に住宅ローンの残高の一部または全部を、予定よりも早く返済することです。
期間短縮型と返済額軽減型の2種類があるため、それぞれについて紹介します。
2.1 期間短縮型の繰り上げ返済
期間短縮型とは、毎月の返済額を変えずに返済期間を短縮する返済方法です。
たとえば200万円を繰り上げ返済することで、本来の返済期間が20年だったものが1年短縮されて19年になるといったもので、結果として短縮された期間に支払う予定だった利息も軽減されます。
完済時期を早めることができるので、定年までに住宅ローンを完済したい人などは期間短縮型がおすすめです。
ただし現在の返済負担は変わらないため、貯蓄を投じたことのメリットが実感できるのは将来になります。
2.2 返済額軽減型の繰り上げ返済
返済額軽減型は、返済期間は変えずに毎月のローン返済額を軽減する方法で、繰り上げ返済をした効果が実感しやすいといえます。
今後子供の教育費の増加や転職、マイカーの購入などで出費が増えた時には、返済額軽減型が役に立ちます。
ただし毎月の返済額は減らすことができますが、返済総額は期間短縮型よりも多くなります。
3. 繰り上げ返済をしない方が良いケースとは?
住宅ローンの繰り上げ返済(一部繰り上げ返済)は、十分な預貯金を確保した上で行うことが大切です。
繰り上げ返済を行うと手元の資金が一時的に減ってしまうので、子供の進学や転職、親の介護などを控えている時期にはあまりおすすめできません。
今後大きな支出を控えている場合には、必要な資金はできるだけ手元に残しておいた方が良いでしょう。
さらに住宅ローンには住宅ローン控除があるので、住宅ローン控除期間中は繰り上げ返済をしない方が得する場合もあります。
住宅ローン控除を受けるためには「ローンの返済期間が10年以上あること」が要件なので、期間短縮型の繰り上げ返済を行ってトータルの返済期間が10年未満となる場合には、住宅ローン控除の対象外となってしまうので注意が必要です。
したがって繰り上げ返済を行う場合には、最も適したタイミングを見極めることが重要だといえるでしょう。