1.1 【資産の活用】

預貯金や生活に利用されていない土地・建物などの不動産、生命保険、自動車、高価な金属類などの資産がある場合は、売却などして生活費に充てる必要があります。

1.2 【能力の活用】

働ける方は、能力に応じて働くことが求められます。

1.3 【他制度の給付金等の活用】

年金やほかの制度から受給できる手当金などがある場合は、まずそれらの活用を優先します。

1.4 【扶養義務者からの援助】

扶養義務者からの援助は生活保護よりも優先されます。親族などから援助が受けられる場合は援助を受けてください。

これらの手段を使っても、世帯収入が厚生労働大臣の定める「最低生活費(※)」に満たない場合に、最低生活費から収入を差し引いた金額が生活保護費として受け取れます。

※最低生活費:生活扶助、住宅扶助、加算額(母子世帯、障害者など)、教育扶助基準・高等学校等就学費、介護扶助、医療扶助などの合計額で求めた生活費

2. 生活保護は地方と都会でどれくらい違う?

前章で触れたように、生活保護は最低生活費を元に支給額が決定します。地方と都市部とでは生活にかかる平均金額に違いがあり、地方よりも都市部の方が生活費や住宅費などが高額になるのが一般的です。この地域間の生活水準の差を考慮し、生活保護基準に地域差が設けられており(「級地制度」といいます)、「1級地-1」から「3級地-2」までの6つに区分されています。

1級地は東京23区や横浜市、大阪市などの都市部が該当し、等級が下がるにつれ地方の市町村が該当します。

では、地方と都市部ではどのくらいの差が生じているのか、ひとり暮らしの男性(50歳)が1級地・2級地・3級地に住んだ場合に受給できる生活保護費を比較してみましょう。

1級地-1から3級地-2までそれぞれのエリアに住んだ場合に受給できる生活保護費の目安は以下の通りです。

※このシミュレーションはあくまでも簡易的なものであり、実際には異なることがあります。

  • 【1級地-1】例)東京23区
    生活扶助基準額:7万7240円+住宅扶助金額:5万3700円=生活保護費:13万940円
  • 【1級地-2】例)大阪府岸和田市
    生活扶助基準額:7万4310円+住宅扶助金額:4万2000円=生活保護費:11万6310円
  • 【2級地-1】例)福岡県久留米市
    生活扶助基準額:7万2430円+住宅扶助金額:3万2000円=生活保護費:10万4430円
  • 【2級地-2】例)新潟県長岡市
    生活扶助基準額:7万1460円+住宅扶助金額:3万1800円=生活保護費:10万3260円
  • 【3級地-1】例)山形県米沢市
    生活扶助基準額:7万80円+住宅扶助金額:2万8000円=生活保護費:9万8080円
  • 【3級地-2】例)北海道中富良野町
    生活扶助基準額:6万7740円+住宅扶助金額:2万4000円=生活保護費:9万1740円

生活扶助基準額も住宅扶助金額も、1級地-1が最も高額で3級地-2に行くにしたがって少額になっていく傾向があります。今回例として取り上げたエリアで比較すると、1級地-1は3級地-2よりも約4万円多く受給できています。