2019年に発表された「老後2000万円問題」をきっかけに、老後のお金事情に関心を持つ方が増えました。

老後2000万円が不足するという計算ですが、前提条件では本人と配偶者の2人世帯がモデルとなっています。

しかし近年では生活スタイルや家族構成にも変化が出ており、例えば国立社会保障・人口問題研究所が発表した「出生動向基本調査」では、「一生結婚するつもりはない」の割合が1982年で男性で2.3%、女性で4.1%だったのに対し、2021年では男性で17.3%、女性で14.6%まで増加しました。

実際にいくら必要になるのかは、世帯のあり様や人数によって異なります。

そこで今回は、増加傾向にある単身世帯にフォーカスしたいと思います。単身世帯の中でも「40~50歳代のおひとりさま」の貯蓄額などから老後の懐事情を考察していきましょう。

1. おひとりさまのうち「40歳〜50歳代」の貯蓄額はいくらか

おひとりさま世帯の方は、現状どのくらい貯蓄をしているのでしょうか。

金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査」によると、おひとりさまのうち「40歳代・50歳代」の貯蓄額は次のとおりとなりました。

出所:金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査」をもとにLIMO編集部作成

40歳代の平均貯蓄額は657万円ですが、中央値は53万円。大きな差があることがわかります。さらに注目すべきは、「金融資産非保有」の割合が35.8%にものぼる点です。

っぽう、50歳代の平均貯蓄額は1048万円まであがります。ただし、中央値は同じく53万円のまま。「金融資産非保有」の割合も39.6%にまで増えてしまいました。

中央値は、対象となるデータを小さいまたは大きい順に並べて中央にある値を指しているため、より実態に近いとされています。

40歳代と50歳代の貯蓄事情を見るに、「貯蓄をしている人」「貯蓄をしていない人」は二極化していることが見て取れます。