今後の家選びと地方の不動産投資への影響

今回ご紹介したように、東京への一極集中を解消するために国や自治体が東京圏外への移住を支援する取り組みを行っていますが、東京都も「未来の東京」のためにさまざまな政策を公表しています。

そのため、今後の家選びをどの地域で検討すべきであるかお悩みの方がいるかもしれません。

「最大100万円の移住支援金を受け取るためにこの地域に暮らそう」などと国や自治体が行う制度を家選びの判断材料の一つとすることもできますが、毎日暮らすことを考えればご自身だけでなくご家族の生活環境も考慮する必要があるでしょう。

たとえば、定期的に通勤しなければならない仕事であるか、子どもの進学先の選択肢はどのくらいあるか、日常生活における車の運転は問題ないかなど。

そして利便性の高い都心に近づく程、不動産価格は高くなりやすい傾向にあります。住宅の広さを重視して郊外を選ぶ、利便性を重視して都会で暮らすなど、住宅に求める条件によっても選び方は異なるでしょう。

一概に「家選びならこの地域が良い」とはいえないため、ご家族とよく話し合ってこれから暮らす地域を選ぶことが大切です。

ちなみに、先ほどご紹介した国が行う移住支援制度は2018年から行われています。ここでは、住民基本台帳人口移動報告から2019年以降の人口移動をみてみましょう。

東京圏の転入超過数をみると、2019年までは東京圏への転入が増え続けている状況でしたが、2020年7月は転出超過となりました。

その後も2020年・2021年は転出超過する月があります。2020年・2021年の転出超過は、新型コロナウイルス感染症が流行した影響から、不要不急の外出を自粛したり、テレワークが推進されたりするなど、「新しい生活様式」が実践されるようになったことが理由として考えられるでしょう。

2022年は7月が転出超過しているものの、緩やかに転入超過が大きくなりました。

続いて、2021年と2022年における都道府県別の転入超過数をみてみましょう。

2021年は東京都の転入超過数が1万人を下回っているものの、隣接している埼玉県・千葉県・神奈川県は1万人を超える転入超過数となっています。

2022年は東京都の転入超過数が拡大して3万人超えとなり、全国の中で最も多くなりました。地方移住支援の制度が始まった後も、東京圏に人が集まる状況が続いていることがうかがえます。

そのため、地方移住支援制度が地方の不動産投資に影響を与える可能性はありますが、地方の不動産価格が大きく変化するほどの影響がすぐに表れることは考えにくいでしょう。

不動産投資を行うエリアを選定する上で、日本が少子高齢化により人口減少が始まっていることを踏まえて人口増減率を一つの判断材料とするケースもあります。

人口減少率の高いエリアの場合、賃貸需要の低さから空室が埋まりにくかったり、大規模な物件などがなかなか売却できなかったりするなどのリスクが考えられるからです。

とはいえ、地方の不動産投資には、都市部よりも安い価格で物件を購入しやすい、利回りの高い物件を見つけやすいなどのメリットがあります。

学生需要が高いエリアや法人の社宅需要が高いエリアなど、賃貸需要はあるけれど賃貸物件の供給数が少ないエリアもあるため、賃貸需要のある立地選びやターゲット層にあわせた物件選びをすることで、リスクを回避しやすくなるでしょう。

国や自治体の政策内容を今後も確認していこう

今回ご紹介した東京都の018サポートや国の制度である地方創生移住支援事業など、少子高齢化や東京圏への一極集中といった日本が抱えるさまざまな問題に対して国や自治体は対策を検討しています。

政策内容によっては今後の家選びや不動産投資に影響を与える可能性も考えられるでしょう。国や自治体がどのような政策を行っているのか、そして今後どのような方針を示していくのか、引き続き確認していくことが大切です。

※この記事はLIFULL HOME'S 不動産投資コラムより提供を受けたものです。

参考記事

LIFULL HOME'S 不動産投資編集部