日本郵船の連結子会社と ANAホールディングス株式会社の株式交換契約

株式交換の概要

2023年7月10日、同社は、ANAホールディングス株式会社(以下「ANA HD」という)との間に株式交換契約の最終合意書を締結した。

同社完全子会社の日本貨物航空株式会社(以下「NCA」という)の全株式を、ANA HD に対して譲渡するためNCAは同社連結から外れる。

予定は以下のとおりである。

  • NCAにおける株主総会決議日:2023年9月中旬まで(予定)
  • 本株式交換の効力発生日:2023年10月1日(予定)

株式交換を決断した背景

NCAでは、運航・整備体制の拡充のための継続的コストが発生する。ボラティリティの高い航空貨物運送事業において、同社としては、コストに見合うレベルで、事業規模を拡大することに課題を抱えていた。

長期的視点での企業価値向上実現を考慮すると、NCAと同事業を営み、NCAと人的関係のあるANA HDへ、NCAを譲渡することが最善の施策であるとの結論に至った。

NCA 株式をANA HD へ譲渡した後も、ANA HDとの関係を維持することを通じて、同社は航空貨物運送事業への関与を継続することとなる。

日本郵船の業績予想修正

定期船事業は、期初の想定よりも回復幅が縮小し、若干の利益水準低下を見込む。

航空運送事業では、軟調な市況が第2四半期も継続する見通しである。

物流事業では、市況下落の影響を受け、利益水準低下を見込むが、ロジスティクス事業は欧米を中心とした底堅い需要に支えられ、当第2四半期以降も堅調に推移する見通しである。

不定期専用船事業について、期初の予想よりも半導体等部品不足の解消による完成車生産台数の回復が見られ、販売需要も好調であることから、引き続き強い輸送需要を想定している。

エネルギー事業部門では、VLCC(大型タンカー)及びVLGC(大型LPGタンカー)は第2四半期以降も底堅い市況となり、LNG船も中長期契約による安定収益に支えられ、堅調に推移する見通しである。

以上に鑑み、売上高は減収となるものの、各段階利益は増益となることから、第2四半期連結累計期間と通期の業績予想を上方修正した。

日本郵船の株主還元

2023年8月3日、同社は株主還元策として、増配と自己株式の取得を公表した。

同社は、中期経営計画において資本効率向上と持続的成長の両立を意識しながら、機動的に株主還元を実施する方針を定めている。

日本郵船の自己株買い

同社は、2000億円を上限としての自己株式取得を行う。

なお、取得した自己株式は全株消却を予定する。

日本郵船の配当

中期経営計画において、連結配当性向30%を目安とし、1株当たりの配当下限金額を年間100円とする株主還元方針を設定している。

上記方針に基づき、業績予想の上方修正を踏まえ、1株当たり中間配当金を期初予想と同額の60円、1株当たり期末配当金を期初予想から+10円の70円として、年間配当金を130円とする予定である。

商船三井の株価

2024年3月期第1四半期連結決算の発表前となる、2023年8月2日の終値は3453円であった。

当第1四半期連結決算の発表および株主還元策の発表を受けて、2023年8月3日13:21には年初来高値である3738円となった。

2023年8月3日の終値は、前日比250円高の3703円であった。

参考資料

石川 貴康