2. 【ENEOSの株価】製油所トラブル対応の進捗や相場が下支え要因か

2023年初からENEOSの株価は回復傾向にあります。第一に2022年の秋口から進行した円高が一服し、緩やかな円安方向に回帰しはじめたことや、原油をはじめとした資源価格の下げ止まりが追い風になったと思われます。

ドル円為替相場と原油価格(WTI原油先物):2022年9月30日~2023年3月30日

出所:各種資料をもとに筆者作成

その上で、前四半期まで懸念材料とされていた製油所トラブルについても対応の進捗が見られ、製油所稼働率の回復が進んでいることが2022年度第3四半期決算で明らかになりました。

その上、コスト削減などにより、製油所トラブルの対応の補修費を加味しても、支出の大幅な増大を抑制することにも成功したと発表しています。

業績については引き続き厳しく、2022年度を最後とする中期経営計画の達成が難しい旨も第3四半期の決算発表で公表されましたが、これはここまで業績悪化が市場に認知されていたため、追加の悪材料とはみられなかったと考えられます。

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3. 【ENEOSの株価】2023年度の無理ない通期見通しが下支えか

2022年度の通期決算と2023年度通期見通しでは好悪混ざる内容でした。まず年度決算では、営業利益で前年度の7859億円から2813億円へ大幅な減益となりました。

一方で、2023年度の通期見通しでは、為替水準を円高(平均1ドル130円)、原油価格もドバイ原油で80ドル/バレル(2022度の実績は同93ドル)と市況を保守的に見積もった上で、増収増益の見通しとなっています。製油所の稼働率改善などが業績回復の原動力となるとしています。

2022年度の第3四半期決算以降で製油所のトラブルへの対応は進捗していると公表されていることもあり、この通期見通しは納得感を持って投資家に受け入れられたと考えられます。

足元の業績不調と合理的でポジティブな通気見通しと好悪混ざる材料により一時ENEOSの株価は上下しましたが、前者はある程度過去の業績推移から予想できたこともあり、一服後は通期見通しが下支え材料となって緩やかに株価は上昇傾向となったと思われます。