IPO株への投資で気をつけたい「成長性」
IPO投資の魅力は「成長性の高い株式への投資とその後の大きなキャピタルゲイン」と考えている方も多いのではないでしょうか。
確かに、業績が好調で、成長をより加速させるためにIPOする企業は多いです。
しかし、必ずしもIPOする企業全てがそうとは限らず、中には売上高や利益が数年横ばいの企業もあります。
IPOする企業の中には、ベンチャーキャピタルなどの既存大株主の意向を踏まえ、公言せずとも、そういった株主に対して「出口(株式を売るチャンス)」を用意することを目的とする企業もあります。
また、大株主兼代表がIPOと同時に株式を売って、その後退任する、いわゆる「上場ゴール」というケースもあります。
売上高や利益が数年横ばいの企業がIPOする場合、上記のようなケースである可能性はそれなりに高くなります。
「IPO株=成長性が高い」と考えていると、想定したよりも投資パフォーマンスが悪くなってしまうことにもつながりかねません。
そのため、成長性を狙ってIPO株に投資したい場合は、以下の点に着目してみるとよいでしょう。
- 売上高は成長しているか
- 今後の成長戦略は具体的か
- IPOと同時に新株式を発行し、成長に向けた資金を調達しているか
- 調達する資金の使途は明確で、納得感があるか
- 既存大株主の売り出し(株式売却)は多くないか
なお、最後の「既存大株主の売り出し(株式売却)は多くないか」については、機関投資家に多く配分するために既存投資家が戦略的にあえて放出するケースもあるので、その点は説明を注意深く見る必要があります。
また、一部のベンチャーキャピタルなど、「そもそもIPOを出口とした投資スタイルの投資家」については、IPO後の「成長性の高い・低い」を問わず売る場合もあるので、この点もケース分けを意識することが重要です。
では次に、「ANYCOLORはどうなのか?」について見ていきます。
執筆者
1991年生まれ。新潟県新潟市出身。2022年に株式会社モニクル傘下の株式会社ナビゲータープラットフォームに入社し、現在はメディア事業部・メディアグロース企画推進室マネージャー。くらしとお金の経済メディア「LIMO(リーモ)」を中心に、多くの読者の方に幅広いコンテンツを届けるための戦略立案に従事している。
それ以前は、LIMO編集部にてアシスタント・コンテンツマネージャー(ACM)として従事。第一報として報道されるニュースを深堀りし、読者の方が企業財務や金融に対する知的好奇心を満たしたり、客観的データや事実に基づく判断を身に付けられたりできる内容の記事を積極的に発信していた。
入社以前は、株式会社フィスコにて客員アナリストとして約20社を担当し、アナリストレポートを多数執筆。また、営業担当として、IRツール(アナリストレポート、統合報告書、ESGレポートなど)やバーチャル株主総会サービス、株主優待電子化サービスなどもセールス。加えて、財務アドバイザーとしてM&Aや資金調達を提案したほか、上場企業向けにIR全般にわたるコンサルティングも提供。財務アドバイザリーファームからの業務委託で、数千万~数十億円規模の資金調達支援も多数経験。
株式会社第四銀行(現:株式会社第四北越銀行)、オリックス株式会社でも勤務し、中小・中堅企業向け融資を中心に幅広い金融サービスを営業した。株式会社DZHフィナンシャルリサーチでは、日本株アナリストとして上場企業の決算やM&A、資金調達などのニュースと、それを受けた株価の値動きに関する情報・分析を配信。IPOする企業の事業・財務を分析し、初値の予想などに関するレポートを執筆。ロンドン証券取引所傘下のリフィニティブ向けに、週間・月間レポートで、日本株パートを執筆。経済情報番組「日経CNBC」にて毎月電話出演し、相場や株価の状況も解説していた。
新潟県立新津高等学校を経て、2013年に慶応義塾大学商学部を卒業。学部では、岡本大輔研究会にて企業評価論、計量経営学を専攻していた。
最終更新日:2023/11/03