みなさんにとっての「老後」は何歳から?

もちろん「◯歳から老後」という定義はありません。捉え方は人それぞれでしょう。

ひと昔前までは、定年退職後の60歳以降を老後とイメージするの多数派だった感があります。今ではシニア世代の雇用環境も見直しが進み、60代以降も現役時代同様に働く人が増えましたね。

「人生100年時代」に生きる私たち。仮に70歳を老後のスタート地点としても、その後の人生は約30年。

私は以前、生命保険会社に勤務し、数多くのお客さまから老後のお金の相談を受けてきました。その経験もふまえ、現在の70代の方々を参考に、貯蓄事情を確認しながら老後のお金の話をしていきたいと思います。

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70代世帯の貯蓄額はどのくらい?

さっそく、70歳以上世帯の貯蓄額を、金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和2年)」をもとに見ていきましょう。

70歳以上・二人以上世帯「金融資産保有額」

(金融資産を保有していない世帯を含む)

70代以上世帯の貯蓄事情

70歳代以上・二人以上世帯「金融資産保有額」

平均:1786万円/中央値:1000万円

【保有額の分布】

金融資産非保有:18.6%・100万円未満:4.3%・100~200万円未満:4.1%・200~300万円未満:2.6%
300~400万円未満:3.0%・400~500万円未満:2.6%・500~700万円未満:6.5%・700~1000万円未満:6.3%
1000~1500万円未満:11.9%・1500~2000万円未満:8.0%・2000~3000万円未満:10.4%・3000万円以上:19.0%
無回答:2.6%

平均値は一部極端な値によって引き上げられる傾向があります。実感により近い「中央値」を参考にしていただくとよいでしょう。

データを読み解くと、3000万円以上の世帯が19.0%、金融資産非保有(=貯蓄ゼロ)世帯が18.6%と、ほぼ同じ割合で存在する「二極化」状態となっています。

さらに、中央値の1000万円に満たない世帯の合計は48.0%、つまり全体のほぼ半数に上る点も看過できないといえそうです。

次では70代のみなさんが受け取る「年金」についても確認していきましょう。