女性は男性よりも昇進意欲が低い

日本では、女性の昇進意欲が男性に比べて低い傾向にあります。リスクモンスター(株)が2020年8月31日~9月2日に実施した「女性の働き方に対する意識」調査では、女性の74.8%が「昇進したくない」と回答しています。

一方、同社が2020年3月に実施した「仕事・会社に対する満足度」調査では、6割超の男性が「昇進意欲あり」と回答していました。昇進への考え方には、大きな男女差があるようです。

近年、日本の男女格差に対して海外から厳しい目が注がれるようになったことで、政府や企業、各種組織には女性管理職の比率アップが求められています。2003年に政府は、指導的地位に女性が占める割合を2020年までに30%程度とする「30%目標」を打ち出しました。2019年には改正女性活躍推進法がスタートしています。

ところが、女性自身の昇進意欲の低さが原因で女性管理職が増えない点が問題視されるようになっています。女性の昇進意欲の低さは、男女共同参画を進めたい政府や企業にとって解決すべき課題のひとつです。

女性の昇進意欲が低いワケ

女性の昇進意欲の低さについては、さまざまな研究や調査が行われています。低さの理由は複数あるでしょうが、大きく「企業側の事情」と「女性自身の事情」に大別できるでしょう。

企業側の事情

企業側の事情を3つ紹介します。

1つ目は、そもそも女性に管理職としての役割を求めていない企業があることです。「男性のほうがリーダーシップがある」という偏見を持つ人や女性管理職のもとでは働きにくいと感じる男性社員もいます。女性社員を男性社員の配偶者候補として採用する企業すらあります。

補助的な仕事ばかりを求められていては、女性はキャリアを積めません。将来のキャリアパスが描きにくくなれば、昇進意欲も上がらないでしょう。

2つ目は、結婚や出産、子育てなどのライフイベントをきっかけとした「離職のリスク」を重視する企業が多いことです。ほかのことを犠牲にしても会社に貢献できる女性だけが優遇されやすい状況です。

内閣府によると、第1子出産を機に離職する女性の割合は2018年度の調査で46.9%に達しています。とはいえ、ライフイベントにともなう離職が、本人の望む選択ではない場合もあります。配偶者や家族の協力が得られない場合に、やむを得ず離職を選ぶ女性は少なくありません。

3つ目として、女性の場合、管理職昇進に必要な在職年数が不足しやすいことが挙げられます。管理職レースは過酷です。育休・介護休暇を取ると同期の男性よりも在職年数が少なくなる場合があり、レースで不利になりやすいでしょう。