40歳目前。ラストスパートがきつい

大学時代、約300万円の奨学金を借りていたというTさん。大学卒業後は正社員として就職、毎月コンスタントに支払いを続けていました。独身時代は奨学金返済に関し特に負担と感じたことはなかったそうですが、結婚・妻の出産後にその負担感を理解したといいます。

「自分は30歳を少し過ぎたところで結婚、そこから子供が2人生まれ住宅も購入しました。ライフイベントがまとまって起こったというのもありますが、その当時の記憶として、あちらこちらにとにかくお金を支払っていた印象があります。

住宅ローンが始まった時、『奨学金さえなければもう少し返済の金額を増やせたのにな』なんて思いました。また、うちの子供が幼稚園に入園したときは無償化もはじまっていなかったので、これも痛かったです。世間的には「そうはいっても重なるのは数年間の話でしょ」なんて思われるかもしれませんが、出産を機に妻が正社員で働いていた会社を辞め、パートになったことなども加わり、収入減の悲壮感がすごかったです。『うちは今後お金を貯めることができるのだろうか』といった不安感に襲われたのを覚えています。

昨年、ようやく奨学金すべての返済が終わったときは安堵感でいっぱいでした。住宅ローンはまだまだ先が長いですが、返済先がひとつ減ったというのは気分的にかなり変わってくるものだなと感じました」

加えて「我が家は妻が奨学金を借りていなかったのがせめてもの救いでした」と語っていたTさん。一般的なサラリーマン世帯といわれるTさんですら、圧迫感を感じたという奨学金の返済。奨学金を借りる際は「将来とにかくお金がかかる年代がある」ということまで考える人のほうが少ないかもしれませんが、こういった事態が起こっている人は一般的にかなりいるのではないでしょうか。また、離職などをせず順調に返済してきたTさんでもこういった状態が起こることを考えると、さまざまな理由で返済がスムーズにいかなくなってしまった方たちが多数存在することも想像できます。