共働き世帯は年収が高いのに資産は少ない

ただ、退職準備という視点からみると、「共働き世帯はあまり資産形成が進んでいない」という懸念点があることは指摘せざるを得ません。

アンケートの結果から平均値を計算してみると、図表2のように、共働き世帯は平均年収が808.2万円と片働きの平均世帯の700.2万円よりも100万円以上多いのですが、世帯資産は1,232.7万円と片働き世帯の1,322.2万円を下回っています。

図表2:共働きと片働きの世帯年収平均、世帯資産平均、投資している人の比率 (単位:人、万円、%)

(出所)フィデリティ退職・投資教育研究所作成、サラリーマン1万人アンケート、2019年

平均値だけで、断定できない点もありますが、「共働き世帯は、世帯年収が高いのにもかかわらず世帯資産は少ない」という実態が浮き上がってきました。

これはどうしてなのでしょうか。サラリーマン1万人アンケートの項目では、この点に関して十分な分析はできませんが、夫婦がそれぞれに収入を得ているものの、それを十分に共有できないからではないかと推測されます。

すなわち、夫婦は共有すべき生活費に関しては互いに負担していても、残った資金は資産形成よりも自身の生活費に充てることが多いのではないでしょうか。資産形成に関して、夫婦で共同して対応ができていない懸念があるわけです。