常時睡眠不足で、常時パワハラを受け続ける。
そんな環境にいると、頭がまわらなくなってしまい、僕の仕事はどんどん精度を欠くようになりました。

あるとき、フラフラになりながら編集センターの廊下を歩いていると、歩きながら寝てしまい、柱に顔面を強打。

メガネをかけていた僕は、メガネの金具が顔に当たり、激痛が走りました。
僕は『痛い…痛い……』とうめきながら、目の前にあった椅子に腰かけて、テーブルに突っ伏したのです。

「大丈夫ですか!大丈夫ですか!!」

僕を起こしてくれたのは、編集センターの警備員さんでした。
なんと僕は激痛に苦しみながら、眠っていたのです。

顔を起こすと目の前には血だまりが。警備員さんに「死んでるのかと思った」と言われました。
顔面蒼白の警備員さんに『ハハハ、顔をぶつけただけですよ』と告げ、自分の持ち場に戻ると、先輩も驚愕。

「あ!お前、どこで何やって…て、え?お前どうしたん?大丈夫か??」

血だらけで持ち場に戻った僕は、就職して初めて先輩に身体の心配をされたのです。
血だらけの顔を洗いながら、僕は「もうそろそろ限界かな」と思いました。

次に「辞めろ」と言われたら退職しよう

退職を決断したはいいものの、打ち明けるタイミングがありませんでした。
とにかく忙しくて、忙しくて、忙しくて。常に仕事で忙しくしている中で、伝えるタイミングはなかったのです。

伝えるタイミングがあるとするなら、怒られているとき。
頻繁に「辞めろ」とブラック先輩に怒られていた僕は、次「辞めろ」と言われたら、『辞める』と言おうと思いました。

情けなくもそのタイミングは、そう思った当日に訪れました。
『はい、辞めようと思っています。僕はもう続けられません』
真剣にそう伝えると、ブラック先輩は「そうか、わかった。会社には俺から話しておく」と言ってくれました。

僕は翌月いっぱいで退職することになりました。

退職すると言ってから、僕の仕事の精度は格段に上がりました。
頭の中が整理され、仕事に集中して取り組めるようになったのです。
周囲からも「お前、辞めなくていいんじゃない?」と言われたりしました。
やっぱり、精神的な問題だったのかな、と思いながら、残り短い期間の業務に取り組んだのです。

ブラック先輩と2人きりになったタイミングで、話を聞きました。

「俺も辞めようと思ったときもあったけど、もうこの年だし。この業界に染まったら、ほかの場所でうまく働ける自信がないだけでさ。すぐに見切りをつけるお前は偉いよ」

ブラック先輩の思わぬ言葉に驚きました。
僕はブラック先輩の言葉をうまく消化できないまま、最終出勤日を迎え、静かに退職したのでした。

最後のパワハラ