ここのところ、日本では大きな災害が多く発生しています。2018年後半から現在までを振り返っただけでも、2018年6月の大阪北部地震、西日本を中心に甚大な被害をもたらした「平成30年7月豪雨」や同年9月の台風21号「チェービー」、同じく9月の北海道胆振東部地震(震度7)、ほぼ同じ震源域で2019年2月21日に発生した地震(震度6弱)などがあります。
災害のときには被害の大きさなどに注目が集まりますが、SNSの影響についても何かと話題になります。実際に災害時のTwitter使用には、賛否両論があるようです。この記事では、それらを簡単にまとめたいと思います。
「ライオンが脱走」など流れるニセ情報
この2月に起こった北海道の地震の後には、北海道警が、「数時間後に本震が来る」「韓国が地震兵器の試験をした」など計16件のツイートを「公的機関の発表などに基づかない『流言飛語』」として認定しました。その中には、元首相である鳩山由紀夫氏のツイート、
「厚真町の地震は苫小牧での炭酸ガスの地中貯留実験CCSによるものではないかと書いたばかりの本日、再び地震が起きてしまった。CCSによる人災と呼ばざるを得ない」
も入っていました。
また、災害の際のニセ情報ツイートと聞いて、2016年の熊本地震のときの「動物園からライオンが逃げ出した」というニセ画像つきのツイートを思い浮かべる人は多いのではないでしょうか。
さまざまな人で溢れ返るTwitterにおいて、情報を鵜呑みにしてはいけません。ニセ情報を発信するのはもちろん、何気なく拡散したせいで、被災地域の人々の混乱を招き、最悪の場合には被害が拡大することもあり得るからです。
「災害ツイート自体どうよ」という人も
また、必ずしもツイートによって実害があるというわけではないですが、「災害について心配する旨のツイートもするべきではない」という考え方の人もいるようです。
「世界のどこかでは常に災害や事故が起こっていて、ツイートにするかどうかの線引きを自分で決めることは傲慢だと思う」
といった意見です。もちろん考え方は人それぞれで、
「心配のツイートをするくらいなら募金に関するツイートをしたり、被災者の方を笑顔にするような面白いツイートをした方がいい」
「現地の人は被災しているのに、いつも通りツイートするのは不謹慎。被災者を思いやるべき」
と、さまざまな意見があります。
ツイートによって救われる命もある
一方で、Twitterにはときに被災者の大きな助けとなるなど、いい面もあります。
前述の「平成30年7月豪雨」では、「80代の祖父母の住む家が水没しかかっている」という救助要請ツイートが拡散されることによって、実際にボートの救援を受けられたそうです。
実際にこのツイートをつぶやいた人は、
「祖父母の命を救うことができた」
と感謝の気持ちを述べていました。
募金呼びかけツイートが数万人に拡散
ほかには、ユーチューバーのHIKAKINをはじめとする著名人が「平成30年7月豪雨」の募金を呼び掛けたところ、その情報がTwitterで拡散され「平成30年7月豪雨緊急災害支援募金」には5億3000万円を超える寄付金が集まったといいます。このように、Twitterの拡散力は、ときとして大いに役立ちます。
ほとんどの道具には、使うことによるメリットとデメリットがあります。それと同様に、災害時のツイートや拡散にも、いい面と悪い面もあるのが難しいところです。特に災害のときには、悪意ではなくあくまで善意から、結果としてデマを拡散してしまうということもよく起こりがちです。
こうしたデマに加担してしまわないように、自分が発信源になる場合はもちろん、安易にリツイートする前にも、一呼吸おいて、それらの情報の裏づけや拡散した場合の悪影響を自分なりに調べ、考えることは大前提です。ただ、使い方によっては、身近なところから被災者を助けることができるのもSNSの特徴です。Twitterなど特定のツールを使う人がより多くなり、拡散力が大きく上がっている分、われわれ自身も、それらを使うリテラシーを高めていかないといけないのは言うまでもありません。
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