まず社員が協力しやすい環境づくりは、リファラル採用の流れや採用ターゲットの共有、自社HPの求人ページの更新等が挙げられます。
次に社員が協力することのメリットの例として、社員への紹介料支給や景品贈呈、また企業によっては、求人の話をする会食であれば採用費用として全額支給するケースもあるようです。
アメリカではグーグルやフェイスブックをはじめ、約85%の企業がリファラル採用を導入し、日本でもメルカリやビズリーチなどのベンチャー企業を中心に導入して成功事例も増えています。ご興味があれば、ぜひネット等で検索してみてください。採用コストを抑えながら自社に合った良い人材を獲得するヒントが詰まっていると思います。
また、社員全員が共通の採用課題を持っていれば、人事や採用担当者に対して協力的になるので、求人広告を制作するための社員インタビューや採用に関する調査依頼、選考に伴う会議室の使用等もスムーズに進めることができます。
定着率を上げる
パーソル総合研究所と中央大学の共同研究の調査によると、2025年の人手不足の推計値は505万人となり、2030年には644万人に達するという予測が発表されました。
今後ますます人手不足の深刻化が見込まれている中、新卒採用のみ実施していた大企業や定着率の高い人気企業も労働力不足で本格的に転職市場へ参画してくることでしょう。
そうなれば、さらに人材確保が苦しくなる可能性もありますので、これまで以上に今いる人材に合わせた働き方が提供でき、働きがいのある職場となるよう企業も成長していくことが求められるのではないでしょうか。
定着率の高い企業の特徴としては、以下のような点が挙げられます。
- 時短勤務、リモートワーク、男性の育休取得等、人材に合わせた働き方の提供
- 時間ではなく、仕事の質に合わせた人事評価制度の見直し
- 組織内のコミュニケーションを強化し、心理的安全性を確保する
また、入社前のミスマッチ防止も定着率を上げるうえで欠かせません。どんな人材を求めていて、どんな人材が定着しているのか。そこにギャップがあるのか、ないのか。ここを検証していくだけでもミスマッチを防止するヒントが見えてくると思います。
おわりに
著者も採用領域未経験でベンチャー企業の採用統括を行ってきましたので、人材確保ができない時の苦しさは痛いほど理解できます。さらに中小企業ですと、採用担当者1人もしくは少人数でPDCAをまわしているケースも多いので、社員全員が共通認識を持てることが何よりも力に変わります。
企業によって「人材不足」のレベルはまちまちだと思いますが、本記事の内容が少しでも参考になれば嬉しく思います。
参考:
「2014年中途採用状況総括 年間採用経費は353万円、1人当たりの求人広告費は機電系の「64万円」が最高」(マイナビニュース)
「労働市場の未来推計 2030」(パーソル総合研究所 × 中央大学)
福島 知加