老後資金を備えたい40代の方にとって、iDeCoとNISAをどちらから始めるかは悩みどころです。
将来への準備は早いほど有利です。この記事では、その選び方や使い分け方を解説します。
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1. iDeCoとNISAの基本をおさらい
iDeCo(個人型確定拠出年金)は、自分で年金を用意する制度です。掛金が全額所得控除になり、運用益も非課税となるなどの税制優遇が強みです。
一方、NISAは投資で得た利益が非課税になり、運用期間中いつでも売却できる柔軟さが魅力です。
両制度とも国が投資を促進するために設けていますが、主に「資金の引き出し自由度」「掛金や投資上限額」「加入年齢」などで違いが明確です。自分の生活設計やリスク許容度、貯蓄目標に応じて使い分けることが大切です。
2. iDeCoとNISAの違いは?
2.1 投資(拠出)可能期間の違い
2024年からNISAは恒久化され、実質的に期限がなく投資が続けられます。これに対して、iDeCoは原則60歳もしくは65歳まで掛金を拠出でき、老後に向けた長期の積立を主な目的としています。
NISAは18歳以上であれば年齢制限なく利用できるため、特に中途解約が容易で柔軟性があります。ただし、いつでも引き出せる気軽さゆえ、長期運用を続けにくい面もあるので注意が必要です。
2.2 投資上限額の比較
iDeCoは被保険者種別により上限が変わり、自営業者なら月6.8万円、会社員や公務員なら2万円前後が目安です。一方、NISAでは「つみたて投資枠」で年間120万円、「成長投資枠」で年間240万円と、合計360万円まで非課税投資ができます。
自分の月々の投資予算やライフステージ、目標額に合わせてどちらが適しているかを検討しましょう。特に自営業者の場合はiDeCoの拠出上限が高いため、節税効果も大きくなる傾向があります。
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2.3 投資対象商品の違い
iDeCoは、元本確保型(定期預金や保険商品)と元本変動型(投資信託など)に分かれ、リスク許容度に合わせて選択できます。NISAは投資枠ごとに対象が異なり、つみたて投資枠は長期運用向けの投資信託、成長投資枠は株式やETFなど幅広い商品群が対象になるのが特徴です。
金融機関によって扱い商品が異なるため、事前にラインナップを比較してから口座を開設するのがおすすめです。手数料や商品数なども合わせて確認しましょう。
2.4 節税効果の比較
どちらも運用益が非課税になる点は共通です。加えてiDeCoは拠出時に全額所得控除が受けられるため、課税所得が減り、所得税と住民税の負担軽減が見込めます。受取時には退職所得控除や公的年金等控除が適用されるので、トータルでの節税効果が大きいのが魅力です。
一方、NISAは所得控除はありませんが、投資期間中の配当や譲渡益が非課税であり、売却益をそのまま再投資できる大きなメリットがあります。収入や拠出額、運用期間を考慮して適切に選びましょう。
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2.5 資産の流動性
iDeCoは原則60歳(または65歳)まで資金を引き出せないため、老後資金として割り切る必要があります。一方、NISAはいつでも売却可能で、必要なタイミングで現金化できる柔軟さが特長です。
ただし、NISAの流動性の高さは、投資の長期化を阻む要因にもなり得ます。途中換金の誘惑に駆られやすい人は、あらかじめはっきりと運用目標を決めておくことが大切です。
3. 40代からiDeCoは遅くない?
40代でiDeCoを始めてもメリットは十分あります。仮に45歳から始めても最長で20年近く拠出と運用を続けられ、掛金はすべて所得控除の対象となるため節税効果は高いです。
ただし、iDeCoは途中解約が原則不可なので、月々の収支にある程度余裕があることが前提になります。計画的に掛金を設定することで、老後資金を着実に積み立てられるでしょう。
4. 40代からNISAを始めるメリット
NISAは売却のタイミングを自分で決められ、投資初心者でも少額から始めやすいです。とくにつみたて投資枠を活用すれば、毎月数千円程度でも非課税で積み立てられるので、投資経験の浅い人にもハードルが低いのが特徴です。
貯めた資金を老後に使うのはもちろん、マイホームの頭金や教育費として途中で取り崩す選択も可能です。長期運用が理想ですが、ライフイベントに応じて柔軟に対応できるのがNISAの強みといえます。
5. iDeCoとNISAを上手く併用する
収入面にゆとりがあり、老後資金もコツコツ確保したい場合は、iDeCoとNISAの併用も有効です。老後資金はiDeCoで確実に積み立て、生活の変化や緊急時に取り崩す可能性があるお金はNISAで運用する、といった形で制度を使い分けるとリスク分散になります。
両制度のメリットを最大限に活かすためには、自分の投資目的や時間軸を明確にすることが大切です。かつ、税制メリットを踏まえた資金配分を考えていくと、より効率よく資産形成を進められます。
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6. 40代で投資を始める前に押さえたいポイント
6.1 投資の目的を明確にする
まずは投資のゴールを定めましょう。老後の生活資金、マイホーム購入、子どもの独立など目的に合った運用期間とリスク許容度を考慮して制度や商品を選ぶことで、失敗を防ぎやすくなります。
6.2 長期・積立・分散を意識する
投資の基本は、長期でじっくり続けることです。積立投資により少しずつ買い付け、複数の金融商品へ分散投資することでリスクを緩和できます。40代からでも20年近く運用することで複利効果が期待できるでしょう。
6.3 少額から無理なく始める
無理のない範囲から投資を始めるのが大切です。月数千円の積立でも続ければ大きな資産となります。逆に高額を一括投資してしまうと、相場の変動で精神的な負担が大きくなりがちなので注意してください。
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6.4 不安があれば専門家に相談する
投資経験が少ない方や、制度の違いを詳しく知りたい方は、ファイナンシャルプランナーや金融機関出身アドバイザーに相談すると安心です。客観的な視点から、あなたに合った商品や制度の組み合わせを提案してくれるでしょう。
7. まとめ:40代からでも間に合う投資戦略
40代は、老後まで約20年ほど期間があるため、iDeCoやNISAを活用して資産形成を始めるのに決して遅くはありません。iDeCoは節税効果が高いぶん制約も大きく、NISAは流動性に優れつつも所得控除がないなど、メリット・デメリットが異なります。
どちらを選ぶか迷ったら、まずは無理なくNISAで少額から投資経験を積み、確実に老後資金を積み立てたいならiDeCoを取り入れるのも一案です。余裕のある方は両方を併用し、目的別に資産を振り分けることで、節税と流動性の両立を図れます。
参考資料
- iDeCoの加入者、加入ご検討中の皆さまへ(2024年12月施行)
- 金融庁「NISAを知る:NISA特設ウェブサイト」
- 日本証券業協会「NISA口座開設・利用状況調査結果(2023年9月30日現在)について」
- 運営管理機関連絡協議会「確定拠出年金統計資料(2023年3月末)」
マネイロ編集部