少額から投資を始められることから人気のNISAですが、中にはNISAの口座変更を考えている人もいらっしゃるのではないでしょうか。

保有資産の取り扱いや手続きの手間に不安を感じている方もいらっしゃるでしょう。

本記事では、NISA口座変更のデメリットや注意点、金融機関の選び方をわかりやすく解説します。

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1. NISA口座変更の基本とNISAの仕組み

1.1 NISA口座は年に1回のみ変更可能

NISA口座は1人1口座が原則で、1年に1回しか金融機関を変更できません。すでに当年中に買い付けを行った場合、その年の途中での変更手続きは認められず、新たな口座を実際に利用できるのは翌年以降となります。

1.2 2025年変更の具体例

2025年にNISAを変更する場合、1月1日以降に少しでも買い付けをしたなら、その年内に手続きが完了しても新口座が使えるのは翌年からになります。一方、買い付けを一度もしていない状態で9月末までに廃止手続きを完了すれば、2025年中から新口座で運用が始められます。

10月以降に手続きをする場合は、新口座の利用は2026年からになります。タイミングを誤ると非課税メリットを活かしにくくなるため注意が必要です。

1.3 変更に必要な手続きの流れ

NISA口座を切り替えるには、まず現在利用している金融機関で廃止の手続きを行い、「勘定廃止通知書」などを受領します。その後、切り替え先の金融機関で新たにNISA口座を開設し、税務署による確認が完了すると変更が成立します。

手続きにはおよそ1ヶ月程度を要する場合があるため、その間に非課税枠を利用した取引は行えません。投資タイミングを逃す可能性もあるため、早めに準備を進めると安心です。

2. 変更に伴う3つの主なデメリット

2.1 保有資産を新口座に移せない

NISA口座を変更しても、これまで非課税枠で購入した投資信託や株式を、新しい口座にそのまま移行することはできません。再度非課税枠で買い付けたい場合は売却して買い直す必要があり、売却時期によっては損益に影響が出る可能性もあります。

また、複数の口座を管理する手間も生じるため、慎重な判断が求められます。

2.2 変更手続きを完了するまでに時間がかかる

金融機関を変更する際は、現行口座の廃止申請から新口座開設、税務署の審査が一連で行われるため、1ヶ月ほど時間を要する場合があります。その間は非課税投資をストップせざるを得ないので、有望な投資のタイミングを逃すリスクがあります。なるべく早めに手続きへ着手することが大切です。

2.3 金融機関ごとの商品ラインナップ差

銀行口座では主に投資信託の取り扱いのみ、証券会社では投資信託に加えて株やETFに投資できる、といった具合に金融機関ごとにラインナップが異なります。

例えば銀行のNISA口座で運用していた人が、変更先で個別株も投資したいと思っても、その金融機関が扱っていなければ目的が果たせません。変更先で購入できる商品をあらかじめ確認しましょう。

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3. NISA口座変更がおすすめなケース

3.1 商品やサービス内容に満足していないとき

「もっと多彩な商品に投資したい」「手数料が割高に感じる」など、現在利用中の金融機関に不満がある場合は、NISA口座の変更を検討するとよいでしょう。

特に、つみたて投資枠だけで始めたものの、成長投資枠で個別株やETFにも挑戦したい場合は、証券会社を選ぶことで選択肢が広がります。

3.2 投資スタイル・方針が変わったとき

最初は投資信託中心で運用していたものの、途中でリスク許容度や投資方針が変わる方は少なくありません。ライフイベントの変化などで運用方針を見直す場合は、新しい方針に合った商品群を扱う金融機関に切り替えると、よりスムーズに目標へ近づけるでしょう。

3.3 対面サポートや専門家のアドバイスを重視したいとき

ネット証券は手数料面で優れていますが、自分で情報収集や判断を行わなければなりません。投資が初めてで不安が大きい方や、プロに相談しながら進めたい方は、IFAなど独立系ファイナンシャルアドバイザーとの連携があるサービスや対面型の証券会社へ変更すると安心感が得られます。

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4. 口座選びで大切な4つの着眼点

4.1 ① 多様な商品ラインナップ

NISAには「つみたて投資枠」と「成長投資枠」があり、それぞれ投資できる商品が異なります。金融機関によって取扱いファンド数やETF・個別株の有無などが変わるため、自分が投資したい銘柄を幅広く探せるかどうかを事前にチェックしましょう。

4.2 ② 手数料をチェック

つみたて投資枠では購入時手数料がかからない投資信託が選ばれていますが、成長投資枠で個別株やETFを取引する場合は売買手数料が発生するケースがあります。ネット証券は比較的安価な手数料プランを提供していることが多く、頻繁に売買する方に向いています。

4.3 ③ サポート体制の充実度

長期投資を継続していく中で、疑問点をすぐに解決できる環境があると心強いものです。オンライン相談や対面相談、専任アドバイザーの有無など、サポート体制がどの程度整っているかを比較しておくと失敗を防ぎやすくなります。

4.4 ④ 取引アプリや操作性

スマートフォンやPCで簡単に運用状況をチェックできるツールがあると、投資が続けやすくなります。アプリの使いやすさや提供される情報の量・質は金融機関によって異なるため、無料のデモ画面などを試して確認してみるとよいでしょう。

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5. 金融機関タイプ別の特徴と選び方

5.1 金融機関別の特徴を押さえよう

NISA口座は銀行、証券会社、ネット証券などさまざまな場所で開設可能ですが、それぞれ得意分野やサポート体制が異なります。

銀行は対面相談しやすい一方、取り扱い商品が投資信託に限られることが多く、証券会社やネット証券では株式やETFなど幅広い選択肢がある代わりに、対面でのフォローが少ないケースもあります。

5.2 銀行 vs 証券会社 vs ネット証券

  • 銀行:預金や融資など総合的なサービスを提供する一方、個別株やETFは購入できないことが多い
  • 証券会社:店舗型・大手の場合は有人サポートが受けられるが、手数料がやや高めの場合もある
  • ネット証券:手数料が安く、商品ラインナップも豊富だが、対面サポートは基本的になし

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5.3 具体的な手数料と商品の比較

つみたて投資枠の投資信託は購入手数料が0円に設定されていることが多いですが、成長投資枠で扱う株式・ETFには売買手数料がかかる場合があります。ネット証券の中には、これらを無料や低コストで提供するプランがあり、コスト意識の高い投資家に支持されています。

5.4 サポートとツール面での違い

銀行や店舗型証券会社なら担当者に相談できる場合があるものの、具体的な投資商品選定は自己責任となることも少なくありません。ネット証券はすべてをオンラインで完結できる手軽さが魅力ですが、困ったときに相談できる窓口が限定的です。

アプリの使いやすさやセミナーの充実度など、自分の投資スタイルや知識レベルを踏まえて選ぶと失敗が少なくなります。

6. まとめ

NISA口座の金融機関変更は、時間や手続き上の煩わしさ、そして保有資産の売却などのデメリットがある一方、新しい口座でより魅力的な商品を扱っていたり、サポート面でメリットを得られる可能性もあります。

金融機関の変更を検討するときは、商品のラインナップ、手数料、サポート体制、ツールの使いやすさを比較検討し、自分の投資方針やライフプランに合った口座を選ぶことが大切です。

また、NISAでの最適な投資先は個人の年齢や資産状況によって異なります。自分の将来に必要な金額や今からやるべき資産運用についても事前に考えておくのがおすすめです。

参考資料

マネイロ編集部