老後資金づくりとして人気のiDeCoですが、途中引き出し不可などの難点もあり、はたして本当に得なのか悩む方も多いでしょう。

本記事ではそのメリットと注意点をまとめます。

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1. iDeCo(イデコ)とは?

iDeCo(イデコ)は、公的年金にプラスして老後資金を積み立てる任意加入の年金制度です。毎月の掛金を自分で運用し、得られた利益を60歳以降に受け取ります。

所得控除による節税や運用益非課税など大きなメリットがある一方、自己責任で運用するため、選択する投資先やその運用成績によって元本割れの可能性も否定できません。

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2. iDeCoの主なデメリット

2.1 デメリット1:60歳まで引き出せない

iDeCoで積み立てた資産は、原則60歳になるまで引き出すことができません。これは老後の資金確保が目的の制度であるためで、資金が必要になっても原則途中解約できない点に注意が必要です。2022年4月から受給開始年齢上限が75歳に延びましたが、長期運用前提で考えることが大切です。

2.2 デメリット2:中途解約が原則不可

資金不足から途中でやめたいと思っても、iDeCoは基本的に中途解約ができません。特定の条件をすべて満たす場合のみ脱退一時金が受け取れますが、単に「支払いが厳しい」という理由では認められません。拠出額を長期的に無理なく続けられるかどうかを十分検討してから始めましょう。

2.3 デメリット3:運用商品による価格変動リスク

iDeCoで運用する際は定期預金や保険商品、投資信託などを選択可能ですが、投資信託の場合は株式や債券の値動きに左右されます。

運用益が大きくなる可能性はある一方、価格変動リスクで元本割れを起こすリスクを否定できません。定期預金でも、手数料負担によって実質的に損をする恐れがあります。

元本確保型でも手数料に注意

定期預金や保険商品は「元本確保型」と言われますが、iDeCo固有の事務手数料や運営管理手数料が差し引かれるため、利息が上回らなければ実質的な元本割れに近い状態を招くこともあります。掛金の全額所得控除を含め、総合的に判断しましょう。

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2.4 デメリット4:手数料がかかる

iDeCoを利用するうえでは、加入時手数料や国民年金基金連合会への手数料、運営管理機関への口座管理手数料、さらに運用商品ごとの信託報酬など、さまざまな費用が発生します。金融機関によって手数料は異なるため、想定コストをしっかり把握しておかなければなりません。

2.5 公務員の場合のデメリット

公務員は他の年金制度との兼ね合いで、iDeCoの掛金上限が月2万円とやや低めに設定されています。拠出額が少ないほど運用益や節税メリットが限定的になり、老後資金が十分に積み上がらない可能性があります。ほかの制度との併用も考慮しながら、拠出金額や運用戦略を検討する必要があります。

2.6 会社員の場合のデメリット

会社員は企業型DCやDBなどの導入状況により、iDeCoの掛金上限が2万3000円、または2万円となります。さらに転職時には資産の移管が必要で、その際は一度運用商品を売却して買い直すなどの手続きが発生し、タイミングによっては相場リスクを負う場合があります。

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3. デメリット以外の注意点

3.1 注意点1:金融機関の変更

iDeCoの運営管理機関は自由に変更できますが、変更時には資産を一度売却・移管し、移管先で再度購入する必要があります。その間、運用が中断して相場変動の影響を受けやすくなる点に留意が必要です。また、金融機関を変える際に移管手数料がかかる場合もあるため、慎重に検討しましょう。

3.2 注意点2:スイッチング時の手数料

運用商品の切り替え(スイッチング)は、基本的には手数料が不要とされることが多いですが、投資信託の販売手数料や信託財産留保額などが発生するケースもあります。投資先のコストや運用方針をよく確認し、不要な手数料負担がかからない方法で配分変更を行うことが重要です。

3.3 注意点3:死亡時の取り扱い

加入者が死亡した場合、それまでに積み立てた資産は死亡一時金として遺族に支払われます。年金受給中でも残高があれば同様に一時金での支給となり、年金として遺族が受け取ることはできません。また死亡一時金は相続財産とみなされるため、相続税の対象になります。

4. iDeCoの3つの節税メリット

iDeCoには、(1)掛金の全額が所得控除となる点、(2)運用益が非課税で再投資可能な点、そして(3)受取時に退職所得控除や公的年金等控除の対象となる点という大きな節税効果があります。

投資リターンだけでなく、税金面での恩恵も運用の成果に大きく寄与するのが特徴です。

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5. iDeCoのメリットを生かしにくいパターン

5.1 貯金が少ない場合

日常的に予想外の出費が多い方や、十分な貯蓄がない人にはiDeCoの長期拘束が負担になる可能性があります。原則60歳まで引き出せないため、急な資金需要に対応できない恐れがあります。まずは生活防衛資金を確保してから拠出の可否を考えるとよいでしょう。

5.2 近い将来に大きな出費がある場合

結婚やマイホーム購入、子どもの教育費など、近々に資金が必要となる予定がある人はiDeCoに拠出したお金を使えません。老後資金づくりと直近の支出予定を両立させるためにも、流動性の必要な資金は別途確保しておくことが重要です。

5.3 運用期間が短い場合

積立投資は長期間にわたって行うほど、価格変動リスクが平準化される傾向があります。一方、60歳までの期間が極端に短い場合、運用期間の不足で満足なリターンを得られない可能性があります。会社員の場合、上限拠出額にも制限があるので、必要な老後資金を試算したうえで検討が必要です。

5.4 納税額が少ない場合

専業主婦(夫)や扶養の範囲内で働くパートなど、元々課税所得が小さく税額がほとんど発生しない方は、掛金の所得控除による効果をあまり感じられません。

住宅ローン控除や各種控除で所得税・住民税が少ない方も同様です。実際にどの程度の納税額があるかを確認しましょう。

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6. iDeCoに関するQ&A

6.1 公的年金への影響は?

企業型DCの場合、掛金を給与から控除するため、標準報酬月額が下がって将来の厚生年金受給額に影響する可能性があります。

一方iDeCoは、給与を受け取ったあとに拠出する仕組みなので、公的年金や社会保険料に直接影響しません。年金額を減らしたくない人にはメリットのある制度といえます。

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7. まとめ:メリットとリスクを見極めて活用を

iDeCoは老後資金を効率的に貯めるのに有力な制度ですが、60歳までのお金の拘束や手数料、運用リスクにも注意が必要です。

それでも、掛金の所得控除や運用益非課税などの大きな節税効果を享受できるため、長期運用可能であれば魅力は大きいでしょう。ライフイベントや貯蓄状況を踏まえて判断し、自分に合った使い方を見つけましょう。

参考資料

マネイロ編集部