5. 【豆知識】シニア対象「申請しないともらえない給付金」高年齢求職者給付金
一般的な年金受給開始年齢である65歳以降も、働き続けるシニアが増えています。しかし歳を重ねてからの求職活動は、必ずしもスムーズに進むケースばかりではないでしょう。
今回は、65歳以上の人が失業した際に受け取れる「高年齢求職者給付金」についてご紹介します。
高年齢求職者給付金【誰がもらえる?】支給要件
- 対象者:高年齢被保険者(65歳以上の雇用保険加入者)で失業した人
- 支給要件:下記の全ての要件を満たした人
- 離職の日以前1年間に被保険者期間が通算して6カ月以上ある
- 失業の状態にある:離職し「就職したいという積極的な意思といつでも就職できる能力(健康状態・家庭環境など)があり積極的に求職活動を行っているにもかかわらず就職できない状態」を指す
高年齢求職者給付金【いくらもらえる?】給付金額
- 給付金額
- 被保険者であった期間が1年未満:30日分の基本手当相当額
- 被保険者であった期間が1年以上:50日分の基本手当相当額
なお、65歳未満が受け取る「失業手当」は4週間に一度ずつ失業認定を受けてから給付されますが、高年齢求職者給付金は一括支給となります。
6. まとめ
65歳以上の無職夫婦世帯の生活費の内訳や貯蓄額、退職金、年金月額について確認してきました。
老後の生活収支は毎月赤字となり、多くの人が貯蓄を取り崩しながら生活しているのが実情です。ただし、この状況は住む地域や生活水準によっても異なるため、あくまで一つの目安として捉えることが大切です。
ここ数年続く物価高騰に対応するため、2024年度の年金支給額は4月支給分から引き上げられることが決定しています。ただ、それだけでは生活の安定を保つのが難しい方もいるかもしれません。
老後の暮らしを安心して送るためには、年金だけで足りない部分をどのように補うかを考えることが大切です。将来に向けて必要となる金額を把握しておくことで、今後の資産計画も立てやすくなるでしょう。
現役世代のうちから貯蓄を積み立てていくことはもちろん大切ですが、それだけで十分とは限りません。必要に応じて、投資などの資産形成も視野に入れておくと心強い備えになります。
無理のない形で進めていくことが、安心した老後につながっていくのではないでしょうか。
7. ※ご参考【年金早見表】厚生年金・国民年金「60歳~90歳代以上」各年齢の平均年金月額
厚生労働省「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」では、60歳から90歳代以上の各年齢における、厚生年金と国民年金の平均年金月額を知ることができます。
60歳から64歳までの平均年金月額は、繰上げ受給を選択した人や、特別支給の老齢厚生年金の定額部分の支給開始年齢の引上げにより、主に定額部分のない、報酬比例部分のみの人の年金額となるため、65歳以上よりも低めです。
7.1 厚生年金の平均年金月額《1歳刻み》
60歳~90歳以上(1歳刻み)
- 60歳:9万6492円
- 61歳:10万317円
- 62歳:6万3244円
- 63歳:6万5313円
- 64歳:8万1700円
- 65歳:14万5876円
- 66歳:14万8285円
- 67歳:14万9205円
- 68歳:14万7862円
- 69歳:14万5960円
- 70歳:14万4773円
- 71歳:14万3521円
- 72歳:14万2248円
- 73歳:14万4251円
- 74歳:14万7684円
- 75歳:14万7455円
- 76歳:14万7152円
- 77歳:14万7070円
- 78歳:14万9232円
- 79歳:14万9883円
- 80歳:15万1580円
- 81歳:15万3834円
- 82歳:15万6103円
- 83歳:15万8631円
- 84歳:16万59円
- 85歳:16万1684円
- 86歳:16万1870円
- 87歳:16万2514円
- 88歳:16万3198円
- 89歳:16万2841円
- 90歳以上:16万721円
60歳~90歳以上の全受給者
- 全体平均:14万6429円
- 男性平均:16万6606円
- 女性平均:10万7200円
7.2 国民年金の平均年金月額《1歳刻み》
60歳~90歳以上(1歳刻み)
- 60歳:4万3638円
- 61歳:4万4663円
- 62歳:4万3477円
- 63歳:4万5035円
- 64歳:4万6053円
- 65歳:5万9599円
- 66歳:5万9510円
- 67歳:5万9475円
- 68歳:5万9194円
- 69歳:5万8972円
- 70歳:5万8956円
- 71歳:5万8569円
- 72歳:5万8429円
- 73歳:5万8220円
- 74歳:5万8070円
- 75歳:5万7973円
- 76歳:5万7774円
- 77歳:5万7561円
- 78歳:5万7119円
- 79歳:5万7078円
- 80歳:5万6736円
- 81歳:5万6487円
- 82歳:5万6351円
- 83歳:5万8112円
- 84歳:5万7879円
- 85歳:5万7693円
- 86歳:5万7685円
- 87歳:5万7244円
- 88歳:5万7076円
- 89歳:5万6796円
- 90歳以上:5万3621円
参考資料
- 2020年基準 消費者物価指数 東京都区部 2025年(令和7年)4月分(中旬速報値)
- 総務省統計局「家計調査報告 家計収支編 2024年(令和6年)平均結果の概要」
- 総務省統計局「家計調査報告(貯蓄・負債編)-2024年(令和6年)平均結果-(二人以上の世帯)」
- 厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 厚生労働省「令和7年度の年金額改定についてお知らせします~年金額は前年度から 1.9%の引上げです~」
- 日本年金機構「加給年金額と振替加算」
- 厚生労働省「離職されたみなさまへ<高年齢求職者給付金のご案内>」
三石 由佳