5. 老後に向けて個人で備えたいこと
年金受給額の実態や制度について紹介しましたが、注意していただきたいことがあります。
それは、これらの年金制度は全て現行制度を参考に計算を行っている点です。
今から10年後、20年後には今よりも受給できる年金額が減少している可能性や、給付開始年齢が後ろ倒しになっている状況も否めません。
そんな中で筆者が思う、老後の資産形成として意識していただきたいことは「自分年金」を作ることです。
特に今、米国債券の金利が高いため、外国債券の購入や、これら活用したドル建ての金融商品を活用した運用方法もあります。
リスクを抑えながら自分年金を準備することで国民年金、厚生年金、自分年金という三階建ての年金で老後に備えてみるのはいかがでしょうか。
6. まとめにかえて
厚生年金受給権者のうち、46.1%が月額15万円以上の年金を受給していることがわかりました。
年金が少ない人には「年金生活者支援給付金」がありますし、昨今では住民税非課税世帯を対象とした給付金事業も進んでいます。
しかし、時代によって給付金の施策は異なりますし、そもそも給付金により生活が維持できる保証もありません。
生涯受け取れる年金が少ないという現状を避けるために、現役世代のうちから対策を進めておくことが重要になるでしょう。
老後資金の準備は、一人ひとりの状況に合わせて、早めに行うことが大切です。
参考資料
- 厚生労働省年金局「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 日本年金機構「公的年金制度の種類と加入する制度」
- 総務省「家計調査報告 家計収支編 2023年(令和5年)平均結果の概要」
- 厚生労働省「令和6年度の年金額改定についてお知らせします」
- 厚生労働省「「年金生活者支援給付金制度」について」
杉田 有毅