2. 公務員の手当には何があるか
公務員が受け取れる手当は、以下の通りです。
- 地域手当
- 住居手当
- 広域移動手当
- 特地勤務手当
- 寒冷地手当
- 俸給の特別調整額
- 勤勉手当
民間企業でも受け取れる手当がありますが、公務員の手当がどのような支給要件なのか、内容についてそれぞれ確認しましょう。
2.1 地域手当
地域手当は、2006年に導入された手当です。
もともとは、公務員の手厚い待遇批判を受けて導入されました。
主に、都市部で勤務する公務員に支給され、およそ1700を超える自治体で手当を支給しています。
以下の給与に支給割合を乗じた金額が、地域手当です。
(俸給+俸給の特別調整額+専門スタッフ職調整手当+扶養手当)×支給割合
地域手当は、公務員全体の給与水準を下げて、地域における物価の差を補てんする目的で導入しています。
ただし、地域ごとに支給割合が異なり、最も高い都道府県は東京都の20%です。
大阪市や横浜市など、政令指定都市は支給割合が高いですが、賃金が比較的低い地域は、支給割合が少なくなっています。
2.2 住居手当
住宅手当は、賃貸に居住する職員を対象にした手当です。
以下の要件に当てはまる公務員が支給対象となります。
賃貸に居住する場合(家賃が1万6000円を超える職員に限る)
単身赴任手当を受給している職員で配偶者等が賃貸に居住する場合
支給額は、それぞれ以下の通りです。
- 賃貸に居住する場合:最高2万8000円
- 単身赴任手当を受給している職員で配偶者等が賃貸に居住する場合:最高1万4000円
2.3 広域移動手当
広域移動手当は、官署間の距離等が60キロメートル以上の異動をした職員に対して、距離に応じて支給されます。
支給される期間は、異動日から3年間です。
距離ごとに支給割合が異なります。
- 300キロメートル以上の異動:10%
- 60キロメートル以上300キロメートル未満:5%
ただし、地域手当を受け取っている場合、地域手当の支給割合分を差し引きます。
2.4 特地勤務手当
特地勤務手当は、離島や生活が著しく不便な地域に勤務する職員に対して支払われます。
- 6級地:25%
- 5級地:20%
- 4級地:16%
- 3級地:12%
- 2級地:8%
- 1級地:4%
支給期間は、原則3年です。
2.5 寒冷地手当
寒冷地で勤務する場合に支払われる手当が、寒冷地手当です。
地域の区分と支給額は、以下の通りです。
支給されるのは、毎年11月から3月までの間に限られます。
以上から、公務員の手当にはいくつも種類があります。
そのうち、最近では地域手当を見直す可能性が示唆されました。
どのような背景で、地域手当が見直されようとしているのか、確認しましょう。
3. 地域手当が見直される?
地域手当では、制度の不公平感が問題視されています。同じ生活圏で隣接した地域でも、手当の支給割合が異なるためです。
たとえば、東京都東久留米市の支給割合は6%ですが、隣接地域では支給割合が異なります。
- 清瀬市:16%
- 西東京市:15%
そのため、地域手当の支給割合が低くなると、職員採用で不利になります。
その結果、行政サービスの質が低下する可能性が生じます。
人事院は、地域手当を級地区分を広げて大きいくくりで再調整する方向で見直すと、勧告で公表しました。
再調整については、以下の3案で検討しています。
- 都道府県単位
- 都道府県をまたぐ広域ブロック
- 都道府県内でのブロック分け
2024年に地域手当の区分や要件が見直されるのか、注目が集まります。
4. 公務員の給与や手当がどう変わるか注目
公務員の給与は、民間企業の賃上げに連動する形で、引き上げられました。
一方で、地域手当の見直しが検討されるなど、公務員の手当も時代に合わせて変化します。
今後、どのような改正が実施されるのか、注目していきましょう。
参考資料
川辺 拓也