5. デジタル給与のメリット3つを解説
キャッシュレス決済が広がっているなかで「デジタル給与」には、どのようなメリットがあるのでしょうか。
5.1 デジタル給与のメリット1:手間や手数料がかからない
デジタル給与払いでは、給与がそのままキャッシュレス決済口座に振り込まれます。
通常チャージするのに必要な手間や手数料がかかりません。
もちろん現金も下ろさずにすむため「休憩時間がATMに並んでいたら終わってしまった」ということもなくなるでしょう。
5.2 デジタル給与のメリット2:金融機関の口座を開かなくてもいい
デジタル給与では金融機関を介さずに給与が振り込まれるため、口座を所有する必要がありません。
母国語以外の言語圏において、金融機関で口座を開くのは難しいもの。
言語の壁を感じる外国人にも優しい支払い方法といえるでしょう。
また、外国人労働者を確保しやすくなることは企業側にとっても大きなメリットとなりえます。
5.3 デジタル給与のメリット3:送金の手数料が比較的小さくなる場合がある
企業側のメリットは外国人労働者の面だけではありません。
給与を送金する際のコストが比較的少なくすむケースが増えるためです。
給与を金融機関に振り込む場合、一般的に手数料がかかります。
支払う人数によっては大きなコストになる場合もあるでしょう。
その点、資金移動業者であれば比較的手数料を抑えて給与を振り込むことができるケースもあります。
6. デジタル給与のデメリット3つ
一方「デジタル給与払い」には、デメリットもあります。確認しておきましょう。
6.1 デジタル給与のデメリット1. セキュリティ面に不安がある
デメリットとして、セキュリティ面の不安があげられます。
口座の乗っ取りや心当たりのない出金など、給与が不正に引き出される可能性があるでしょう。
また、企業側からすると指定した資金移動業者に従業員の個人情報が集まるため、情報流出のリスクも考えられます。
6.2 デジタル給与のデメリット2:人件費がかかる
指定の資金移動業者を利用することで「人件費がかかる」という企業側のデメリットもあります。
デジタル払いを希望する人と、これまでどおり銀行振り込みを希望する人、それぞれに対応する必要があります。
そのため、どうしても人件費がかかってしまいます。
6.3 デジタル給与のデメリット3:口座の上限額がある
資金移動業者の口座上限額は、100万円以下に設定されています。
そのため上限額を超えた場合には、あらかじめ労働者が指定した銀行口座などに自動的に出金されます。
この際の手数料は労働者負担となる可能性があるため、指定の資金移動業者や勤め先に確認する必要があるといえるでしょう。
また、送金の必要性が高まるとせっかくの「口座不要」のメリットが薄れてしまう可能性があります。
7. ポイント還元などメリットも! 動向をチェックしながらキャッシュレス決済を検討して
海外と比較すると、日本におけるキャッシュレス比率は大きいとは言えません。
しかし、増加率や意識調査の結果をみると利用傾向が高まっている様子が伺えます。
2021年時点の利用したい割合は26.9%でしたが、今後の動向にも注目していきたいものです。
はじめてのことは何でも難しく感じがちですが、キャッシュレス・スマホ決済などは実際にやってみるとその簡単さ・利便性に驚くでしょう。
まだ発展途上といえる「デジタル給与」ですが、企業側が導入したタイミングで検討してみるのもよいかもしれません。
参考資料
- 東京都「暮らしを応援!TOKYO元気キャンペーン」
- 株式会社学情「3人に1人は「デジタル給与払い」の活用を希望。「キャッシュレス決済サービスに直接入金されたら便利だと思う」「現金をほとんど使用しない」の声」(PRTIMES)
- 厚生労働省「賃金のデジタル払いが可能になります!」
- 厚生労働省「賃金移動業者の口座への賃金支払いについて 課題の整理⑦」
荒井 麻友子